国際司法裁判所(ICJ)の国連総会への勧告的意見(要旨)


【諮問】国連総会は94年12月、「核兵器の使用または使用のどう喝は、国際法上許されるか」に関して、国際司法裁の勧告的意見を求める決議を採択した。

【国際司法裁の裁量】国際司法裁の規定は、勧告的意見を出す裁量を認めている。しかし本件においては、そのすべてに答を出せるものではない。

【適用法律】国連憲章、武力紛争に関する法律、及び核兵器に関する協定などである。

【武力行使に関する国連憲章】国連憲章第2条は、加盟国に対する武力による威嚇、武力行使を禁じている。また51条は、個別的、集団的自衛権を保証している。しかしこれらの条文は、核兵器を含め、いかなる兵器を禁止する、または許可すると特定していない。

 従って、あらゆる状況での自衛に際し、核兵器の使用それ自体を排除しない。

【核兵器の合法性、非合法性の規則】核兵器の使用や使用の脅迫を認めるような法律及び協定はないことに留意する。

【国際人道法との関連】 当法廷は、武力紛争に適用される国際法の原則が成立した後に、核兵器が作り出されたことに留意する。しかしながら、従来型の兵器に適用される人道法は、こうした新兵器にはふさわしくないという説を、今回の審理では取らない。

【中立の原則】中立の原則は、国際人道法と同様、使用される兵器のいかんにかかわらず、すべての武力紛争に適用される。

【結論】核兵器に対する人道法、及び中立の原則についてはほとんど議論がなされず、そうした中から導き出された結論には、異論も多かった。

 核兵器の特殊性を考慮すると、かかる兵器の使用は、武力紛争に適用可能な法による制約が及びにくいと思量される。だが、ただちに適用が除外されるとは結論付けられない。現在入手可能な要素を勘案すると、当法廷は、国家の存亡がかかっている極限状態の国家が、自衛のために核兵器を使用することの合法性、あるいは違法性について、明確な結論を下せない。