資料
安倍官房副長官、福田官房長官の核容認発言の要旨
 
■安倍官房副長官の発言(「サンデー毎日」2002年6月2日号)
 
○「有事の際に、自衛隊の活動とか国の活動において、皆さんの国民の権利、基本的人権が一時制約されるのではないか、ということです。これは制約されます。(略)パレスチナを見てください。国家が崩壊したら、彼らの人権を誰が担保するんですか。権利を担保する国そのものが存続の危機を迎えている時には、それは当然、ある程度我慢をしなければならない。そういう理屈が当然だと思う」
○「自衛隊を認めている以上、法整備をしないとおかしい。(略)毎年毎年、約5兆円近い予算を使っているんですね。実力部隊としては世界で、米国は別ですが、自衛隊の実力というのは最高水準だろう。(略)イージス艦が4隻もある。地平線を越えてレーダーをとばすことができますから、極めて大きな範囲をカバーできる。(略)1隻1200億円もするわけです。税金を使っている以上、当然機能的に活動できるようにするというのが、われわれ政治家が納税者に対しての義務ではないか」
○(先制攻撃はできないでしょうと司会の田原総一郎に問われて)「いやいや、違うんです。先制攻撃はしませんよ。しかし、先制攻撃を完全には否定はしていないのですけれども、要するに『攻撃に着手したのは攻撃』と見なすんです。(日本に向けて)撃ちますよという時には、一応ここで攻撃を、『座して死を待つべきではない」といってですね、この基地をたたくことはできるんです。(略)撃たれたら撃ち返すということが、初めて抑止力になります」
 (大陸間弾道弾を作ってもいいのかと問われて)「大陸間弾道弾はですね、憲法上は問題ではない」、「憲法上は原子爆弾だって問題ではないですからね、憲法上は。小型であればですね」
 (それは個人的見解かと念を押されて)「それは私の見解ではなくてですね、大陸間弾道弾、戦略ミサイルで都市を狙うというのはダメですよ。日本に撃ってくるミサイルを撃つということは、これはできます。その時に、例えばこれは、日本は非核三原則がありますからやりませんけども、戦術核を使うということは昭和35年(1960年)の岸総理答弁で『違憲ではない』という答弁がされています。それは違憲ではないのですが、日本人はちょっとそこを誤解しているんです。ただされ(戦術核の使用)はやりませんけどもね。ただ、これは法律論と政策論で別ですから。できることを全部やるわけではないですから」

これに対して安倍氏は
「法律論と政策論は別だ。大学の講義という場、しかもオフレコということなので純粋に法律論を進めた。」
「発言の中で『政策論としては非核三原則上持つことはできない」と、可能性を排除しているのだから。全部の文脈を見てもらわなければ困る」
「(日本が被爆国だからというのは)それは感情でしょう。被爆国だから(原爆を)排除しろという考えではない」
としている。
(※一部省略しながら引用しています)

■福田官房長官の発言(記者会見・記者懇談)
 
○「(政府は大陸間弾道ミサイルや原子爆弾などの)攻撃型の兵器は持たない。他国を侵略する手段は持たないことになっている。それは政治論なんだろう。専守防衛ならばもつことはできる。法理論的に言えば、専守防衛で守ることであれば、持ってはいけないという理屈にはならない。憲法上、もしくは法理論的に(大陸間弾道ミサイルや原爆を)持ってはいけないとは書いてない。しかし、政治論としては、そういうことをしないという政策選択をしている」(5月31日・記者会見)
○「最近は憲法も改正しようというぐらいになているから、国際情勢(の変化)や国民が持つべきだっていうことになれば、非核三原則も変わることもあるかもしれない」(5月31日・記者懇談)
○「私の発言が将来、政府として非核三原則を見直す可能性を示したものと受け取られ、独り歩きしている。それは真意ではない。現内閣で三原則の見直しを考えたり、今後の課題として検討していることは全くない。(三原則の見直し発言は)そういう大きな政策転換を言うはずがない。もし、そんなことを言えば、内閣はその途端に吹き飛ぶ。私の発言は、国の安全保障のあり方について、時代状況や国際情勢を踏まえた国民的議論があり得るということを述べたもので、政府としての今後の方向性を示したものではない」(6月3日・記者会見)
(※要旨です)