サルトリイバラとシオデ

サルトリイバラの雌花

サルトリイバラは雌雄異株の蔓性の低木で、棘(とげ)を持ち、木の枝から枝へと絡みつきその棘で猿でも捕まえそうな比喩からサルトリイバラの名がある。
春に黄緑色の花を付け、夏にかけて葉を茂らせ、この葉が近くの山裾を散策すれば良く目立つが、秋の赤い実も良く目につく。 利尿、できもの、腫れ物等に効く薬草でもあり、若葉を水にさらして和え物、おひたし、天ぷら等の山菜ともなる。

筆者にとってはサルトリイバラの名前よりブトンバの名の方がなじみが深い。 この植物の葉を使って作られるブトンバ餅は故郷の瀬戸内海の島や中国地方でよく作られ、関東では柏餅がこれに相当する。
柏餅を作るような大きな葉の柏の木が少ない中国地方ではサルトリイバラの葉を使って作ることが多く、地方地方によってブトンバ餅、しば餅、いばら餅等呼び名が異なる。
我が家では今でもこの餅を作るが、蒸して出来上がった時の香ばしい葉の香りが何とも言えない。

サルトリイバラ(雄花)

サルトリイバラ(雌花)

サルトリイバラの葉と実とブトンバ餅

サルトリイバラは分類上ユリ科シオデ属に属し、シオデもサルトリイバラに似た雌雄異株の花を付け、サルトリイバラほど目立たないものの、山裾ですぐ見つかる植物である。

シオデ(雄花)                 シオデ(雌花)

シオデとタチシオデがあり、シオデの花期は夏、タチシオデも晩春から初夏とサルトリイバラより花期が少し遅く、茎にも棘(とげ)は無い。
シオデは山アスパラガスと呼ばれるようにその若芽はアスパラガスに似て非常に美味な山菜であり、血行促進や関節炎等に効果がある漢方薬ともなる。
名前の由来は定かで無いが、アイヌ語で食べられる植物を意味する 「シュオンデ」 から来たとする説が有り、昔から名の知れた山菜である。

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