センダングサいろいろ

コセンダングサの花と実

九月末から十月に入る頃、散歩道の田の畦や土手のいたるところに黄色い花のかたまりが目立つようになり始め、その内、黒い棘だらけの実を付け、この花と実が花の少ない晩秋を席巻するようになる。 
コセンダングサと呼ばれるキク科の花で、在来種のセンダングサに対し小さいセンダングサと名付けられた帰化種である。 
小さいセンダングサとは言っても1メートルぐらいになり、花は筒状花で花弁も無く、あまり綺麗とは言いがたいものの、秋の花の少ない季節には散歩道のいたる所で目に付く。 近年ではコセンダングサの変種で白い花弁を持つシロバナセンダングサ(コシロノセンダングサ)も目立つようになっている。
コセンダングサは世界の暖帯、熱帯に広く分布し、何処から日本に渡ってきたのかハッキリしないが北アメリカ説が多い。 牧野富太郎博士によると明治時代には近畿地方に広がっていたとあるから、江戸時代に帰化したと考えられる。 現在では関東以西のあらゆる所で繁栄を謳歌している。 
キク科センダングサ属にはセンダングサ、コセンダングサ、シロバナセンダングサ(コシロノセンダングサ)、アメリカセンダングサ等があり、この内、センダングサは在来種とはいっても古い時代に帰化した史前帰化植物であるが、その他は比較的近年に帰化した植物群である。
センダングサは黄色の花弁、シロバナセンダングサ(コシロノセンダングサ)は白色の花弁を持つが、コセンダングサやアメリカセンダングサは花弁を持たない。 ただ、アメリカセンダングサはその総苞で直ぐそれと分かる。

コセンダングサ、シロバナセンダングサ(コシロノセンダングサ)、アメリカセンダングサ等、比較的近年に帰化したものは散歩道のあちこちで見られるが、センダングサはめったに見られず、秋の野原に慎ましやかに咲いている。
 

 コセンダングサの花      コセンダングサの葉   コセンダングサの実

  センダングサの花      センダングサの葉      シロバナセンダングサ

  アメリカセンダングサ    アメリカセンダングサ     アメリカセンダングサの葉

これらセンダングサの仲間にいつも悩まされるのはその種子で、表題の写真の黒く丸い部分や拡大写真の様にトゲを持っており、バラバラに散って衣服に付き、取るのに大変苦労する。 種子が動物や人間に引っ付いて分布を広げる仲間を一般に 「ひっつき虫」 と呼んでいるが、センダングサ類の種子はバラバラに散って数多く引っ付くので 「ひっつき虫」 の仲間の中でも一番厄介な部類に入る。( 「引っ付き虫いろいろ」 の項参照)
センダングサの名の由来は栴檀(せんだん)の木の葉と、この草の葉の形が似ている事から来ている。
栴檀から 「栴檀(センダン)は双葉より芳し」 と 「大成する人は子供の頃から優れた能力を発揮する」 の比喩に使われる有名な文句を連想するが、この比喩の栴檀は白檀のことである。 白檀の別称を栴檀とも呼ぶらしいが、センダングサの名前の基になった栴檀は白檀とは別の木である。

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