アキノキリンソウ

アキノキリンソウは一枝に花をたくさん穂状に付け、その花穂の形を酒が発酵する時の泡立ちに見立てて別名をアワダチソウ(泡立ち草)とも呼ばれる。
日本の晩秋の野原を席巻している帰化種のセイタカアワダチソウはこの在来種であるアキノキリンソウに似て背が高いのでセイタカアワダチソウと名付けられたいきさつがあり、別名セイタカアキノキリンソウとも呼ばれる。

アキノキリンソウとセイタカアワダチソウはキク科アキノキリンソウ属の同じ科同じ属の近縁の花であるが、セイタカアワダチソウはすっかり有名な花になったのに対し、本家のアキノキリンソウは現代では余り知られず山裾にひっそりと咲いている。( 「セイタカアワダチソウと花粉症」 の項参照)
正式名のアキノキリンソウの名は伝説の動物である麒麟を連想させてキリンソウと名付けられたベンケイソウ科の花に似て秋に咲くのでアキノキリンソウの名がある。( 「マンネングサいろいろ」 の項参照)

キリンソウ

アキノキリンソウ

あまり知られてはいないとは言ってもアキノキリンソウは秋の野の花を代表する花のひとつで、散歩道の途中の熊谷市の古墳程度の観音山や、深谷市の最高峰であるが僅か330mの鐘撞堂山、あるいは、近くの武蔵丘陵の森林公園の歩道の脇などあちこちに咲いている。
中国では仲間のミヤマアキノキリンソウを一枝黄花と呼び、風邪の頭痛、喉の痛み、腎炎等に効く漢方の薬草とするが、日本ではアキノキリンソウを用いて漢方薬の一枝黄花をつくる。 漢名の一枝黄花は見事な命名で同じ意味でも日本名のアワダチソウよりよほど分かりやすくすっきりした命名であるが、レンゲを紫雲英、シャガを胡蝶花等、漢名には感心させれる命名が多い。
アキノキリンソウは食用にもなり、若苗の葉を揚げ物にしたり、お浸しや胡麻和えにして食べる。 薬用や食用の植物として古くから親しまれてきた花であるが、現代では分家のセイタカアワダチソウがはびこり有名になっているのも時の流れであろうか。

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