粗悪パソコンの修理代金は、損害賠償請求債権で相殺して対抗





納得できない修理代金
 商品に欠陥があるとしか考えられない故障が生じたとき、1年未満の保証期間内であれば一般的には
 無償修理が受けられる場合が多いようですが、その期間を越えたようなときは、修理代金を請求される
 ケースが多いようです。しかし、高い買い物をした購入者としては、高額な修理代金にはどうも納得できません。
 以下は、過去にノートパソコンを購入し、数年後、購入した商品に隠れた欠陥があると主張して、損害賠償
 請求債権と修理代金債務とを相殺することで、修理代金を法的に消滅させた実例です。
 
 
 
 
PCに不具合が発生

1.粗悪部品を多用していると思われるPCメーカーのパソコンは、故障が多いように思われます。ある特定箇所
 の部品が故障したと考えられるような場合、修理を申し込むと担当者から電話やメールで故障の原因箇所を把握
 するために問い合わせや専門用語でいろいろ対応するよう指図を受けます。商品の購入者としては、それらに対応
 することを余儀なくされること自体、とても煩わしく不条理で納得ができませんが、パソコンを復活させたい一心で
 対応せざるをえません。
 このように、部品交換で修理が可能と判断されたときは、メーカーから交換部品が送付されてきて自分で部品を
 脱着して付け替えることを強いられることになります。

2.ところが、マザーボードが原因と思われるような故障については、部品交換で対処することは困難で、メーカーに
 PC本体を送って修理を依頼することになります。しかし、その修理代金の見積がとても高すぎるのです。
 購入者の立場からすると、すぐに故障するような欠陥商品を販売しておきながらその一方で修理に持ち込まれた
 自社が販売した商品の修理に、高額な修理代金を請求する姿勢は、商道徳に反しタチが悪いと言わざるを得ません。




不条理な購入業者への対抗措置

 そこで、そのような不条理な販売業者に対しては、購入した商品に欠陥があるようであれば、購入業者に対して
 過去の売買契約に基づいて損害賠償請求できます。その根拠は、民法570条の「瑕疵担保責任」と、そこで
 準用している民法第566条第1項後段「損害賠償請求」がその法的根拠です。
 具体的な法的手段としては、過去の売買契約に基づく損害賠償債権と今回修理依頼した修理代金債務とを相殺
 する(民法第505条「相殺の意思表示」)ことによって修理代金債務自体を法的に消滅させてしまうのです。


相殺の意思表示の内証証明
 相殺する方法は、内証証明郵便で行います。これは相殺の意思表示がいつの時点で相手方に到達して修理代金の
 債務が消滅したのかを証拠として残す意味があります。
  参考までに、PCメーカーに実際に送付した相殺の意思表示の内証証明は、こちらです。


 ちなみに、量販店などからPCを購入したような場合は、売買契約はその販売店との間に成立していますから、修理依頼と
 修理代金相殺の意思表示はその店に対して行う必要があります。
 

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