「現代の数理科学B」受講者へ
この授業では,『フラクタル』と呼ばれる図形を扱います.
フラクタル図形は図形列の極限として得られる図形です。
数学的な取り扱いが可能であるフラクタル図形は、
単純な図形を初項とし、単純な規則で図形列を作ったときの
極限として
得られる図形
です。極限として得られる図形を正確に描くのは一般に不可能ですが、
初項の図形、第2項の図形、第3項の図形、第4項の図形...と
極限に至る図形列を順次描いていくと、極限図形の概形を想像することは可能です。
しかし、たとえ初項が単純な図形であり図形列の生成規則が単純であっても途中の段階を手書きで描くことが困難な場合もあります。極限図形を思い描くのにはさらに困難が
伴います。例えば、
や
などを見て下さい。この二つはいずれも、初項は立方体とか正四面体とかの単純な図形であり、図形列の生成規則も
単純です。でも上の図のように、少なくとも、
第4項、第5項ぐらいまで描いてみないと極限図形を想像するのは
なかなか容易ではありません。
林の中などで普通に見ることができる「羊歯の葉っぱ」も同様に
「単純な図形を初項とし、単純な規則で図形列を作ったときの極限として
得られる図形」として捉えることができますが、途中の図形列を
手書きで描こうと思うと困難が伴うし、この図形列の極限が「羊歯の葉っぱ」であるであろうことは、
何段階か描かせてみないと想像するのは難しいでしょう。
興味がある人は、
ここや
ここで遊んでみてください。
フラクタルに関する書籍は沢山あります。
amazon.co.jpにおいて「フラクタル、書籍」で検索した結果をリンクさせておきます。
フラクタルに関する本は大雑把に分類すると2種類に分かれます。
ひとつは「啓蒙書」。フラクタル生成プログラムがいろいろ載っていて、
図が沢山ある本などはこの部類に入ります。
もうひとつは、「上級者用専門書」。
難度が高く、読むのに骨が折れることが多いです。
この両者を区別するのに、値段が一つの目安になりますね。
啓蒙書を眺めても勉強にはなりますが、いかんせん数学の部分がいいかげんな
ことが多いです。「フラクタル」は自然界にある様々な形を扱う学問とはいえ、
数学の話なので、この授業では数学の部分を(予備知識を仮定せずに)
扱ってみましょう。
ウェブ上にも情報は沢山あります。たとえば、Googleにおいて「フラクタル」で検索する
と
こんなに
出てきます。手書きではうまく描けない図が多いので、フラクタルはウェブに
向いていると言えるでしょう。ただ、ウェブ情報はどうしても無責任になりがちなので
情報を選別する眼を養う必要があるとも言えますね。
この授業では
自己相似性を理解する
ことを目標にします。