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これは不良品? |
備前焼は土の味を楽しむものです。ここが釉薬を使う陶器と大きく違うところです。ですから土も細かい肌が整ったものやら砂粒が混じったようなざらざらしたものやら色々あります。よく不良品ではないのかと聞かれるのが石はぜです。これは陶土に混じった(混ぜた)砂粒が表面に出てきたりひびとして現れたりします。陶土が乾燥して収縮するとき石は収縮しないのでひびやクレーターのような盛り上がりとして出てくるものです。景色の一つなのですが備前焼になじみがないと不良品としてクレームがでることがあります。景色には好みがありますので、これは備前焼の個性の一つではあるのですが・・・難しいところなのです。 |
不器量なの? |
小皿とか小鉢とかで何枚かセットの作品があります。窯出しなどで作家さんと相談しながら選んだり、最初からセットで作っていたり色々ですが、自然釉が魅力の備前は同じように見えても、改めて見てみると妙に気になる作品が混じっていたりします。不出来なものは除外しますが灰や炭が飛んだ結果の景色は好き嫌いの問題になります。実際に使ってみるとお客用には無難な景色のものを、自分用には個性が強いもの(悪く言えば不器量?)を使うことになります。すると不思議なことに「あの茶碗」が「いつもの茶碗」になりいつしか「かわいいい茶碗」になっていきます。なんとなく不器量に見えたものが、自分用の目印に見えてきます。備前を日常で使ってる人ならわかってもらえる感覚だと思います。 |
ビアマグについて |
ビールを飲むときに何を使いますか?缶、グラス、大きなジョッキなど色々だろうと思います。ビールの専門店で飲むビールのおいしさは格別ですが、その理由はよく知られいているように鮮度と注ぐ技術が違うからです。工場を見学した経験のある人は鮮度の違いを実感したことがあると思います。鮮度はメーカーの努力で販売店に古いものが並ぶことは少ないと思います。注ぐ技術は細かいクリームのような泡を作ることですが備前焼は表面に釉薬がありませんので簡単にクリーミーな泡をたてて注ぐことができます。冷やしたグラスの美しさもいいですが汗をかいて表面が濡れた備前の景色も美しいものです。 |
フリーカップ |
備前焼のアイテムにフリーカップなるものがあります。名前のまんまなのですが、その形は様々です。湯呑み、酒盃、ビアマグ、蕎麦猪口、等々。原型になったものによって焼酎に良さそうとか、これで冷酒を飲んだらおいしそうとか、昆布茶にはこれだ、見たいにそれぞれが個性的な雰囲気をもっています。管理人もそうなのですが、作品を見て「これは何に使うものなのですか」って訊く人が多いんですって。作家さん曰く「あなたが好きなように使ってください」ゴモットモデス。 昔の茶人は何でもない器を見て水差しや花器に使って楽しんだようです。自由に楽しむ心があれば世界が広がりますよね。ただ知らずに使うのと知って使うのでは・・・管理人が「これは何に使うものですか?」を卒業できるのは何時のことやら。 |
ぐい呑みたち。 |
初めての作家さんの処を訪問して作品を見せてもらいながら、まず探すものがぐい呑みです。第一の理由は情けない話ですが安いからです。花器や茶器はのけぞるような値段が付いていることも珍しくありません(正当な値段でもです。)で、作家の個性が現れていて値段は安いぐい呑みの値段を確認して「一安心」してからゆっくりと作品を見せてもらいます。対応が良くてとても手ぶらで帰れない場合の御挨拶にぐい呑みを連れて帰ります。作家さんのほうでも心得ていてそれなりの数を揃えていることが多いようです。ただし、名刺代わりの作品はとても大切なものですので作家さんも小さいからと言って手を抜くことは絶対にないと断言できます。小さな抹茶碗と表現した高名な作家の言葉を思い出します。少し皮肉な話しになりますが、高名な作家さんの子供や孫が自分の実力を勘違いするのもぐい呑みです。高名な作家本人はぐい呑みといえどもそれは結構な値段が付いています(当然です)で、訪問した客の考えることはこの場を離れるためには・・・と考えた結果、子供や孫の安いぐい呑みを、さも気に入ったように買って帰ります。結果、俺は親父を超えた勘違いするらしいです(ありそうな話でしょ) |
湯呑みは不当に扱われていいませんか。 |
窯元やお店をうろうろしているとき思うことがあります。酒器や花器に比べて湯呑みの扱いが低いんじゃないのって疑問です。茶器でなし、さりとて煎茶のセットのように自分なりの価値観を主張するでなし、売れ筋の商品であるにもかかわらずです。 そんな訳で少し湯呑みにこだわってみようかと考えてます。 窯元や作家の人と話しをしているとほとんどが贈答用らしいです。出来が良い湯呑みでも贈り物で興味の無い人のところに貰われたら・・・とんでもない逸品が不用品として眠っているかもしれませんね。これを読んだら一度は押入れを整理してみましょう。お父さんが貰って忘れていた備前の湯呑みは今をときめく人気作家の駈け出し時代の作かも知れませんよ(夢 |