53-9: 北海道 白老 荒井工芸館



所在地:所在地: 北海道白老郡白老町大町3−3−26  

取材時期:2017年10月

ジャンル:展示系

珍スポ度:☆☆☆(☆五個が最高得点)

白老にすごい外観の工芸館がある、とのことで登別マリンパークニクス取材がてら訪ねてみた。朝8:30から営業しているとウェブに載っていたため、9時半ころに到着するも、営業終了の看板が・・・。よく見ると朝は10時かららしい。仕方がないので近くのアイヌ民族博物館を見学したが、これがなかなか面白かった。白老ポロトコタンという、アイヌ語で大きな湖の集落を意味するアイヌ文化伝承館なのであるが、実際にムックリ演奏を聴けたり、囲炉裏にあたったりと北海道に住んでいるからには、というより日本人は単一民族であると思っている皆さんに一度見学してほしい場所ですよね。女性が口のまわりに入れ墨をしていたのは驚きでした。

  

そして問題の荒井工芸館である。11時頃に再訪すると今度は駐車場に車がある。なにやら巨大な荷物を積み込んでいるおじさんに、「見学したいんですけど?」と声をかけると、おじさん、中に入って「おきゃくさんだよ〜」。そうか、ここのヒトじゃなかったんだ。しばらくすると女将さん現れ、「案内いりますか?」だったので、もちろんお願いします。まずは入り口左手の工房に案内され、木彫りの熊やキタキツネレリーフの制作過程などを見せてもらった。ここは全て手彫りで、機械を使わずに制作し、師匠もお弟子さんもいわゆる土産品ではなく芸術作品を作っている。

  

北海道の木彫り熊、というとなんだかアイヌの民芸品のように思われているようだが、実は倭人が考案したものなのである。発祥は道南・八雲町であり有名な木彫り職人が何人もいたらしい(地元なので、いつかは取材しようと思っているのだが・・・)。木彫という点で八雲ともつながりがあるんだな〜などと思っていると、次は巨大な引き戸一面に謎の彫り物がある奥の間に案内された。ここは、木彫り展示販売所兼師匠の工房でもある。熊の木彫りもほとんどは左向きで、右向きは制作が難しいらしい。左右同じように彫れる職人はほとんどいないという。

そんななか、荒井師匠の真骨頂は、どうやら南米チリやペルー、もしくはアフリカにみられるような人物像の木彫のようだ。もちろん熊もあるが、それよりフクロウのほうがお好みらしい。あの犬山の円空じいのように、彫る前からその木をみただけで、どういう作品になるかわかってしまうのだろうか。一度彫り始めると一気に作品を仕上げるということはまさにそういうことなのだろう。神戸から嫁いできた女将さんの話も楽しい。北海道の食べ物の話から、道民の気質や子供の教育まで広がる広がる・・。ぐるりと店内を一周しふと奥の間を見上げると神棚に祭られているのは、木彫巨大男根ではないか・・。うーん、やられた。

結局、自分用の装飾品として小ぶりの抽象木彫りを購入させていただいた。ポーターのポーチにぶら下げたら良いだろうな〜。皆さんは結構交通安全のお守りとしてバックミラーにぶら下げておくのだそうだ。師匠とはご対面することができなかったが、女将さんも木彫り歴は長いらしいので説明を聞くには十分、というよりお話好きの女将さんならではの話術でも楽しませていただいきました。また白老に来たら寄ってしまうんだろうな〜。


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