52-2:北海道 北見 ハッカ記念館



所在地:北海道北見市南仲町1丁目7番28号

取材時期:2013年9月

ジャンル:展示系

珍スポ度:☆☆(☆五個が最高得点)

北見といえばハッカというくらい有名であるし、例の「ひとりあるき北海道」にも真っ先に出てくるので、北見にいったら是非取材したいものだと思っていた。シゲチャンランド訪問の途中、北見で一泊することにしていたので、行ってみることにした。駅前からそれほど離れていないところに記念館および蒸留館はある。レトロな建物は以前は研究所として使われていたところだったようだ。入館料はなんと無料だし、隣の蒸留館もまた無料なのは嬉しい。さて早速中に入ってみよう。

入り口のすぐ右手には受付があり、その向かい側には記名帳が(入場は無料だけど、名前は書いていって欲しいとのこと)。早速担当のおじさん(館長さん?)がやってきて、記念館の解説をしてくれた。やはり驚くのは、戦前は日本のハッカ生産量は「世界の」7割を占めており、そのほとんどがここ北見で製造されていた、という事実である。その生産現場を写真や実際の蒸留装置・遠心分離器などを目の前にして知ることができるとても貴重な場所なのである。一階奥の、まさに「研究室」では、その様子をビデオで見ることができるので、是非鑑賞していって欲しい。さらに種々の蒸留装置や「シャープレス型遠心分離器」など、ちょっと懐かしくなる装置もたくさんある。

  

二階に上がると、そこはハッカをつかった商品を手当たり次第並べたコレクションルーム。歯磨き粉からメンソールタバコ、ハッカ飴から湿布に至るまで、本当にハッカは日常生活に欠かせないものになっていることを実感する。中には「アイヌ人形メントール」などというかなりレアな土産も展示されているので注意が必要だ。さらにその奥は会議室?かな、昭和天皇が視察に来たときの写真も残されている。

  

記念館を堪能した後は、その隣にある蒸留館である。ここでは、実際にハッカの枝や根からハッカ成分の抽出を実演している。当然ながら、全体的にスースーする香りに包まれており、ここにも歴史的な製造設備が展示されている。土間の中央に問題の蒸留装置が置いてあり、実際の抽出液を少量腕つけてくれる。この段階では精製度が低いので、メントールの香りのほか、なんだか草っぽい臭いも結構混じっていた。この抽出液をさらに結晶化して精製度を上げたものをハッカ脳というらしい。樟脳の「脳」と同じで「結晶」という意味なのだそうだ。今ではすっかり化学合成のl-メントールが普及してしまったため、薄荷を蒸留した精製脳を原料とするものはほとんどないらしい。そういえばこの蒸留館で購入した「天然はっか油」は化学合成ものではないんだろうか?

その光学異性体の合成技術は、あの有名なノーベル化学賞を受賞した野依先生が見つけ出し、l-メントールの量産化を成功させたので、日本にとって「ハッカ」はとても関係が深いのだな?などと一人感心してしまったのであった。まったく関係ないが、なぜかハッカ記念館発行の記念切符も、この蒸留館で購入できるので、興味のあるかたは160円で、まさに「記念」として購入するのもよいでしょう。



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