47-6:大阪府 東大阪市 小阪城  



所在地:東大阪市下小阪1-12-29

取材時期:2010年4月

ジャンル:展示系

珍スポ度:☆☆☆(☆五個が最高得点)

大阪にセルフビルドのお城があるのは知っていた。今回の連休取材はあまり取材対象を決めずに出かけたので、当初はこの小阪城、行くつもりはなかったのだが、偶然行きのフェリー内でテレビを観ていたら、この城が紹介されていたため、急遽取材することに決定。当日宿泊予定のホテルに荷物を預け、東大阪は小阪駅前の商店街に向かった。正確な場所を調査していなかったので、駅前で通りがかりのおじさんに尋ねてみたところ、「すぐそこや!」とのこと。狭い路地を入って行く(バイク取材ならでは)が、どこにも城らしきものが見あたらない。再度、通りがかりのファミリーに聞くと、「すぐそこなんやけどな〜」。まわりは一方通行の道だらけで、結局XJを押してウロウロした結果。やっとイソノ理容店を発見。その屋上にちょこんと載っかった天守閣を拝むことができた。


写真を撮り、店の前から内部を見ると、幸いなことに店内は空。髪が伸びていて取材旅行が終わったら散髪しなければ、と思っていたので、丁度良い機会と思い店内に突撃!「すみませ〜ん」と声をかけると、人の良さそうなおいちゃんが・・。革パンツでカメラをぶら下げているので、明らかに城見物だとわかったのか、「城・観にきたんか!よっしゃ、案内したる」。散髪を申し入れると「そんな義理立てせんでも・・・」。しかし、ヘルメットの中で髪がぺったんこになるのはイヤなので、是非切ってくださいとお願いし、散髪椅子に座る。

それからイソノ城主のおもしろトークが始まった。まずは当然ながら城の由来。全て廃材を使い、コツコツと自分で作り上げたのはテレビやネットで紹介されている通り。なぜここを見に来たのかという話題になり、セルフビルド系の建物が好きなんです、という説明で何とか逃げる。別に珍スポ取材です、といっても良かったのだが、「珍スポ」の定義を一々説明するのがちょっと面倒だった、ということもあった。セルフビルドと言えばあの「沢田マンション」が国内一の規模を誇るが、現在はどうなっているのだろう?

話はイソノ城主の子供時代にまで遡り、終戦直後のドタバタで普段は入れないような場所(寺や御所のなかまで)探検したことや、中国への旅行などあちこちに話題が飛んだのであった。話題が豊富なかたである。神戸の震災の時にも被災直後に海から上陸したのだそうだ。良く言われることだが、爆撃を受けた後のようだ、とは戦争当時を知るイソノ城主だから表現できることであろう。さて、そんなこんなで散髪終了。お代は2700円(だったかな?)を支払い、いよいよ本題の城内ツアーである。


一度理容店を出てぐるっと路地をまわり、逆側が入場門(玄関とも言う)である。おじゃましま〜す、ということで、まずはお座敷に案内される。フスマには城主自らが筆をふるった襖絵がある。鶴がいたり、ちょっとだまし絵になっていたり、これもコツコツ書き足しているそうである。何とも多彩なかた。正面の庭には滝もしつらえてあるではないか。珍スポオヤジの大半は、細部の詰めが甘い場合が多いがイソノ城主はちがう。かなり徹底的にやるタイプとみた。じゃあ、次はこっちねと、移動するとなんと、奥様が昼食の支度をしているリビングを通り抜け二階へ。このリビングにも和庭園の絵が描いてあり、奥行きを出そうとしている。流石に完全なプライベート空間なので撮影は出来ないものとおもい通りすぎようとすると、「なんや、撮らへんのか?」。折角だからばっちり撮影させてもらった。

  

さて二階へ上がると、ここも一室がぐるりと庭園図が描いてある。まだ一部書きかけの部分があり、各場面にそれぞれ意味があるのだという。フスマの一部が観音開きのようになっており、その奥に階段が・・。飼っているネコちゃんがさらに上に行かないようにかんぬきがさしてあるが、それを外しさらに上階へ。さてそこには、あの秀吉が愛したという黄金の茶室が再現されているではないか!な・なんとも。住宅内部、丸ごと城を再現しようという努力は十分認めても良い状態である。黄金の茶室といえば、これまで取材したなかで一番立派なのが、長野は四賀村の信州ゴールデン・キャッスル、約してSGCの黄金の間。さすが養老乃瀧グループ創始者が金に糸目をつけず贅沢に作った部屋を思い出した。比べてはいけないとは思うが、小阪城黄金の茶室にはすこしワビサビの雰囲気が漂う。もちろん褒め言葉である。

  

さらに上階があり、そこまで登ると通常の家屋であれ屋根部分にあたるところに天守閣がそびえている。天守閣内部は、流石にま増設工事を行っているところらしく、部材が散乱しているが、そんなことは気にせず、城主は天守閣の外へ出た。一緒に出てみると、なるほど城だ、と感心する出来映えの天守閣がそびえている。城主と天守閣の図を一枚撮らせていただき、逆側へ。「これって建築基準法に違反しないの?」との質問には、「な〜に、その辺にある看板と一緒や」とのこと。なるほど、そんなものか・・・、と感心し、ツアー終了。玄関にもどり、理容店の椅子に残してきた荷物を回収して取材終了。なんのアポもなくく飛び込みでやってきた人物に対しても非常に親切に対応して下さったイソノ城主に大感謝でした・・。

  ←これはホンモノの大阪城です


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