44-7:東京都 中野区 ボトルシアター 



所在地: 東京都中野区白鷺3-17-12

取材時期:2009年2月

ジャンル:展示系

珍スポ度:☆☆☆☆(☆五個が最高得点)

それは今治の日本食研・宮殿工場見学をしている時のことであった。食の展示室の一画にガラスのショウケースが・・・。何気なく中を覗き込むと、そこにはちっちゃな空き瓶が並べられていた。な・何で食品工場にガラスの空き瓶が???と、すっかり食いつきモードに入り解説を読む。するとこれら空き瓶は単なる古空き瓶ではなく、時代を現す貴重な文化遺産なのである、という趣旨の説明。しかも、この手の空き瓶を蒐集するコレクターがいるという事自体驚きである。その奇特家の名前は庄司太一氏というらしい。良く解説を読むと、どうやら都内に「ボトルシアター」なる館を運営しており、見学することができるというのだ。


取材旅行から戻り、すっかりボトルシアターの事を忘れていたある日。古本屋で「山田五郎のマニア解体新書」という蒐集家を取材した本を見つけ、ページを捲っていると、その冒頭にあの庄司氏の記事があるではないか!そういうことならやはり取材に行かねば、ということでウェブ検索から入った。調査によるとボトルシアター見学は要予約であり、ふらっと訪ねても入れないらしい。しかも、ただ見学して、ハイさよなら、では済まされない状況に陥るらしい・・(ブログ参照)。少しだけ躊躇したが、早速電話をかけてみる。すると奥様が電話口に・・・「あの〜、ボトルシアター見学させて頂きたいのですが・・・」とニカ。するとご主人である庄司氏に電話を替わり、なんと当日午後3時に下井草駅の改札出たら再度連絡するように、とのこと。やった!OKが出た。

JRと西部新宿線を乗り継ぎ、下井草へ。横浜からは結構な旅である。少し早めに到着したので駅の周りを「ぶらり〜」。味のあるパン屋さんや古書店(未購入のカラーブックス発見)などを冷やかし、3時丁度に再度電話。すると途中まで奥様が出迎えてくださった。閑静な住宅街の一画にお屋敷があり、お庭の一部を二階建ての趣味スペースとして利用しているのが、このボトルシアター。なんとも贅沢ですね。早速裏手の入口に案内され扉を開けると、中からご主人が。がっしりとしたおじさん、といったところで、まずはご挨拶。入館料300円 x 2名を支払い、まずはグルッと内部を見渡す。



室内は床壁天井が枕木で覆われており、あのコールタールの臭いが懐かしい気持ちにさせてくれる。ショウケースや陳列棚が所狭しと並べられ、そこには大小様々な空き瓶たちがゾロッゾロ。何で空き瓶なのか?をこれから聞きだそう!と思い、こちらから話しかけようとしたところ、先方から、「何で此処に来たの?」という先制攻撃。例に依って「今治の宮殿工場でみたんですよ」との返事に、「ああ、日本食研の社長とは知り合いでね・・」。な・なんと、それであんな所にボトルが並べてあったのか。ここから、ボトル集めを始めた経緯や、並べてある小瓶の由来、かつてはそれが主目的であった内容物の解説など、オールド・ボトルに関する情報をしっかり伝授してもらったのだ。



オールド・ボトルは大抵地中に埋まっており、それを発掘するのがとても大変な作業。掘る作業自体が大変である点に加え、その行為自体がとっても怪しい。しかも埋まっている場所は、何十年も昔にゴミ捨て場であったところがねらい目なのだそうだ。発掘作業中に警官に職質されたことも珍しくないそうだ。「埋まってそうな場所はどうやって突き止めるのですか?」というニカに質問に、「長年やってれば雰囲気で分かるんだよ」などという、観光ペナントハンターの土産物店物色時と同じような答えにニカはニンマリ。その他、懐かしのコーラやコーヒー牛乳の空き瓶、東海道のラムネ瓶シリーズなどは圧巻である。


(↑皆さんのお力拝借!これ何だかわかります?その昔、酵素を抽出する際に用いたガラス器具なのだそうですが・・・)

さて一通り見せてもらったし、そろそろ・・・、と思っていたら、「では、二階にもご招待しようかな、外の階段を登って」。導かれるまま階上へ。そこは庄司氏の書斎兼音楽室。そこでさらに話は続く。よく聞くとボトルおじさんは、なんと大学の教授なのです。英語の先生なんですね。しかも篤いミュージシャンでもあるのです。かつてはヘビメタ・ギンギンだったそうだが、だいぶ前に亡くなった弟さんの残した録音を発掘し、思いっきりフォークの世界に。いまではオリジナル楽曲も含めて幅広いレパートリーを誇るのであった。その楽曲をギター一本で熱唱する。歌っては語り、語っては歌い、あっという間に二時間が過ぎ外は真っ暗になっていた。ボトルを見に来たのか、庄司博士のソロコンサート聞きに来たのか、判然としない取材を終え、下井草の駅に向かったのであった。ありがとう、庄司博士!またおじゃましますね。


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