43-9:岡山県 岡山市 犬島 銅精錬所 



所在地:岡山県岡山市犬島

取材時期:2008年12月

ジャンル:廃墟系

珍スポ度:☆☆(☆五個が最高得点)

岡山に銅精錬所跡をうまく利用した廃墟系アートスポットがある、という情報を入手し、2008年最後の取材旅行として岡山を選んでみた。本来ならRX-7に乗り換えてからの初長距離取材といきたかったのであるが、年末ギリまで仕事ということで、新幹線&レンタカーでの移動です。岡山駅に昼前に到着(さすが新幹線!午前中に岡山です)。すぐに予約していたレンタカー(マツダ・デミオでした)に乗り換え、宝伝港へ。港には食堂くらいあるだろう、と甘く見ていたのが敗因で、町営駐車場のおばちゃんに聞いてみたが、そんなものは無い。仕方が無いので駄菓子屋で「ビッグ・カツ」とソーセージ、菓子パンなどを購入し、冬風吹きすさぶ港のベンチで豪華な昼食である。

渡しのフェリー(300円)に乗り込み、いざ犬島へ。と気合いをいれるも、ものの数分でシマへの食料品とともに到着。港のすぐ横にあるアートプロジェクト受付棟に行く。事前に予約が必要であるが、一人1000円で銅精錬所跡を利用した柳幸典氏のアート作品を解説員付きで鑑賞できるプログラムの受付を済ませた。しばらくすると、集合場所にかくしゃくとしたおばあちゃんが現れる。彼女が今回の案内嬢「ちえこさん」であった。ニカ家、プラスもう一組で巡回開始!

   

まずは精錬所跡に徒歩で移動。柵の向こうは許可されたヒト以外は立ち入り禁止である。残念ながらアート作品に関しては撮影禁止となっていたため、精錬所のメインである巨大煙突も撮影禁止。ちょっとけちくさい気もするが・・。建物自体は三分一さんという建築家の作品らしい。早速建物内部に入る。ここは件の煙突を利用し、夏でも涼しく、冬は暖かい状態に保たれ、エネルギーを利用した冷暖房が必要ないように造られているとか・・。さらに進むと鏡の通路が現れる。光の反射をうまく利用した面白い体験型アートですね。さらにアート作品が続き、三島由紀夫の自宅グッズを壁や天井まで持ち込んでオブジェ化した展示スペースや、犬島特産の御影石を使ったコンセプトアートなどがある。

どうもこの柳幸典氏というのは三島大好き人間のようで、彼が自決した時にばらまいたパンフの文字などを執拗に使い、ちょっと不気味な作品に仕上げているのである。靖国に祀られている英霊の言葉を障子に投影してある作品などはちょと受け付けがたいヒトもいるのではないか。ということで一通り作品鑑賞終了である。

ここからはやっと廃墟鑑賞ツアーらしく、外に出る。作品側にカメラを向けなければ撮影OKということでやっとキヤノンT-90の出番が巡ってきた。崩れかけた煙突や、精錬所から出たスラッジの固まり、朽ち落ちた煉瓦の壁、屋根が落ちた発電所跡など、廃墟系らしい光景が楽しい。ただし、廃墟系探訪の醍醐味の一つでもある「忍び込んだ」感はもちろん無い。管理された廃墟ですね。映画「瀬戸内少年野球団」で有名になる前の島田紳助が首つりの演技をした場所はここだよ!などと、地元のちえこさんだからこそ知るネタも教えてもらえたりするのは管理廃墟ならでは、ではあるが・・。当日は非常に良い天気で、海峡を挟んだ小豆島もきれいに見えた。その小豆島の山並み中腹に白い巨像が・・。あれはもしや小豆島観音では?とおばあちゃんに尋ねると、まさにその通り。大分前に取材したきれいな大観音様を思い出したのだ。その後、ぐるっと丘を巡り海側に出たところでツアー終了。喫茶店でオリーブサイダーを頂き、帰りのフェリーで宝伝港に戻ったのである。珍スポではありませんが、廃墟を観光資源として活用する際の一つの方法として面白いやり方であるのは確かだと思います。長崎軍艦島は、アートなどで誤魔化さないで、あのままの姿で内部ツアーをやってほしいですね、あの佇まいがそのままアートなのですから。

  


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