39-6:和歌山県 白浜温泉 ホテル川久




所在地:和歌山県西牟婁郡白浜町3745

取材時期:2007年5月

ジャンル:バブリー系

珍スポ度:☆☆☆(☆五個が最高得点)

コメント:
2・3年前だろうか、バイクで紀伊半島取材ツアーを行っていたときである。白浜の歓喜神社を探して海岸沿いを走っていた。すると海に浮かぶようにメルヘンチックなお城が見えるではないか。こ、これは珍スポに違いない、と確信しバイクをその方向に向けた。お城につながる狭い一本道を近づくとゲートが見えてきた。そこには制服をびしっと着た係りの兄ちゃんたちがいる。先に入っていった車には、ゲートで兄ちゃんたちに止められ、何かを言われているようだ。それを見てニカはビビリ、ゲートの遙か手前で写真を一枚撮って退散したのであった。帰還後、調査してみると、それはホテル川久(かわきゅう、と読む)であった。

 

いつかは取材してやるぞー、とその時は思ったのだが、しばらくするとその存在をすっかり忘れていた。そんなこんなで最近、都築響一師匠の「バブルの肖像」という週刊朝日連載をまとめた本を読んでいたら、この川久が出ていた。都築氏をして「バブル期に日本を席巻した超高級リゾートホテル・ブームのうちでも頂点に立つウルトラ・バブリーな怪作」と言わしめるほどの建築物が、このホテル川久である。全89室、全てスイートルームで300億円の巨費を投じて作られた宿泊設備。1993年開業当時は会員制で個人会員一口2000万円だったのだそうだ。ひえ〜!でも大丈夫。当然ながら経営破綻し、北海道のカラカミ観光チェーンに買われたらしい。そう、あの「宇宙一大浴場」を擁する洞爺サンパレスもカラカミ観光の運営するホテルだ(「行ってみたいな〜サンパレスぅ〜、サンパぁ〜レス」と節が付けられれば、あなたは立派な北海道人です)。ネットで調べてみると、別に会員制でもないし、法外な宿泊料を請求されるわけでもなさそうなので、今年の連休の目玉と位置づけて出かけてみた。

淡島神社を午後3時過ぎに出発。阪和道を下り、途中一般国道になるが順調に進む。白浜温泉に近づくと、じゃーん、見えてきましたよ、異景が・・。かなり目立つので案内板やナビなど必要ない。今回は車利用の旅なので、件の細道にMGを入れ、あのゲートに向かう。やはり係りに兄ちゃんがダッシュで寄ってきた。「宿泊の方ですか?お名前をお願いいたします」。名前を伝えるとヘッドセットに向かい「ニカ家様ご到着!」と無線を飛ばしている。駐車場にMGを停めると直ぐに係りのお姉さんが台車を引きながら現れる。「いらっしゃいませ、すでにフロントには伝えてありますので、このままお部屋にご案内いたします」、さすが超高級リゾートホテルは対応が違うわ。

   

入り口の自動ドアを抜け、ロビーに入ったところで、まず驚きの豪華さ。ここは礼拝堂かっ、てなくらい荘厳な造りである。天井の金箔貼りはフランスの高名な職人、柱はぶっとい疑似大理石(1本一億円!也)、床はイタリア職人が手作業で張り合わせたモザイクタイル。壁にはシリアで発掘された1800年前のビザンチン・モザイク(ルーブル美術館にも同じ物が収蔵されている!)と、噂通り贅を尽くした内装である。ブラジル産のブルーバフィア石(と言われても有り難さ、全く不明ですが)を壁面に用いた、世界一重量のあるシースルーエレベータで3Fに案内される。なが〜い廊下を移動しながら、大浴場はあっち、食事はこっち、との解説。各部屋の入り口もいちいち立派で、感心しながら奥へと進む。やっと辿り着いた部屋。

  

ドアを開け、バスルームやトイレを両脇に配した短い廊下を抜けると、メインダイニング。さ・さすがに広い。ニカ家の居間よりも明らかに広いぞ。ソファも詰めれば7、8人は座れる大きさで、二人でこの広さだと持て余し感を抱いてしまう自分が何となくビンボくさい。ベルガールお姉さんにチェックイン用紙を渡され、記入しながら注意事項等の説明を受け、夕食を7時からに決定。少し時間があるので、外観写真を撮りにホテル周りをうろつくことにした。まずは先ほど入ってきたゲートに向かう。出口でベルボーイ君に「お出かけですか?」としっかりチェックされホテル外へ。やはり何度見ても異様としか言えない雰囲気だが、なかなか写真ではお伝えできないのが残念。部屋に戻り、温泉タイム!大浴場がまたすんごい事になっている。ゴージャスですね〜、なんというかギリシャ風というか大理石をふんだんに使い、天井が円形くりぬかれており間接照明となっている。

夕食は地中海風の洋食コースを選んであったので、浴衣のままスリッパをパタパタさせながらメインレストランへ向かう。本格ディナーをお気軽に浴衣でいただけるのは、ここ川久くらいではないか?前菜から始まり最後のコーヒーまで、なかなか美味しい食事でした。でも、浴衣で洋食って実は袖がじゃまで食べにくい事が判明。そう考えると結婚式披露宴等で女性が和服で食事する時などは、さぞかし大変なのだろうな〜などと思うのであった。レストランで客層を観察してみたが、別に普通の家族連れや年寄り夫婦などばかりで特殊な人種が泊まりに来ているわけではないようだ。

翌朝、ここは有名な温泉場ということで朝風呂へ。前日とは男女入れ替わっており、露天付きの大浴場へ。早速露天に出てみると、これは凄い!見えるのは城の外装なのでヨーロッパ中世のお城の中庭に露天温泉風呂を持ってきました!というチグハグ感が素晴らしい。川久の露天は明るいうちに入るのが良いかもしれない。その後朝食。夕食と同じメインレストランでバイキングを選択していたので1Fに向かう。後で気付いたのだが、取材という点からなら朝は和食を指定するんだった。そうすれば城内探索時に見つけた何やら豪華な料亭様の場所で朝食が頂けたはずだ。ちょっと残念!

朝食後は再度城内探索し室内プールなども発見、さらに土産物などを物色。部屋で少しのんびりして取材終了。建築に興味のある方も、無い方も、この「ウルトラ・バブリーな怪作」は十分楽しめるのではないでしょうか。この建物が消えて無くなる、ということは当分あり得ないとは思うが、そこはこのご時世、カラカミもぎりぎりでホテル経営しているらしく、絨毯や調度品などはオープン当初から更新していないようで少しくたびれた感がある上に、部屋内部の仕切に使われているクローゼットは明らかに後から追加したもので、安っぽい造りであった。そういった意味で興味ある方は早めに見て置いた方が良いかもしれないなぁ〜と感じた取材であった。

  

補)川久最高宿泊プランは一人8万円で最上級スイートにジャガーまたはベンツでのお迎え付きなのだそうだ。チェックアウト後も高級車で白浜観光ができるらしい。興味のある方は川久ホームページを今すぐチェック!

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