26-9:石川県加賀市 ユートピア加賀の里

所在地:石川県加賀市作見観音山1-1

取材時期:2005年5月

ジャンル:展示系

珍スポ度:☆☆ (☆五個が最高得点)

コメント:
小松のはにべ岩窟院から加賀市に向かい、北陸の巨大観音様がいらっしゃる加賀ユートピアの里に向かう。連休真っ直中ということで、国道8号バイパスはかなり渋滞しており、なかなか進まない。GPSによると、そろそろ西へむかうべきところまで来ていたので、地図には細すぎて掲載されていない小道へ右折。畑の中をしばらく西へ向かう。かなり走ったところで、はるか向こうの丘に黄金に輝く巨大観音様発見!やはり、あの「ぬっ!」としたところが何とも言えず嬉しいです。さて、あとは輝く観音様に導かれるまま近づけばよい、のだが・・・・。すぐ近くまで到達するも誘導標識など一切無い。しかも線路に阻まれて「そこに見えるのに近づけない!」という悔しい状況で、あたりを行ったり来たり。結局、加賀温泉駅からかなり離れた踏切を渡り、何とか観音様足下へたどり着いた。

早速バイクを停めようと駐車場に入るも、観光バスが100台は停められるであろう広大な駐車場には全く車無し。いや〜な予感がした。もしかしてユートピア加賀の郷はすでに潰れてしまったのか・・。入り口階段付近の受付ブース窓はベニヤ板で覆われているし。バイクを降り、入り口へ向かうとそこには「落雷のため、大観音胎内巡りはできません。このため拝観料500円に値下げして営業中」の張り紙がある。よかった、一応園内にはまだ入れるようだ。階段を登りしばらく歩く。道の両側にはかつてレストランであったような建物がずらりと並ぶが、営業している店は一軒もなし。シャッターが降りているが土産物屋もあった。受付に近づくとおじさんが暇そうに店番をしていた。入園券500円を自販機で購入。この辺りの雰囲気、どこか懐かしいなぁ、と思ったら、あの榊原温泉「大観音寺」のテイストにかなり近いぞ(売り込みおばちゃんのマシンガントークはありませんが)。



そこから、さらに階段を登って行くと徐々に巨大黄金観音様頭部が見えてくる。登り切ったところで、うゎ!すごっ!これが北陸を代表する大観音か!と、写真撮りまくりなのである。ここまで、入場者はニカ一人・・。順路通り進み、まずは大観音足下へ。ひゃ〜、でけ〜、と感心しつつ観音背後に回ると、そこが胎内巡り入り口・・。そこにはやはり「落雷のため、胎内参観できません!」の文字がある。うーん、本当に落雷で施設が壊れるなんて、今時あるのだろうか?恐らく入場者が少ないため、内部の照明やエレベータを動かす経費がだせないのが本音ではなかろうか?何せ、連休真っ直中なのにたった一人の参拝者なんだから・・。



さてお次は三十三間堂へ向かう順路だ。大観音を囲むように回廊があり、その外側の芝生では施設の従業員であろうか、作務衣を着た坊主頭のおっちゃんがゴルフクラブを振り回している。うーん、あまりにも暇なのはわかるが・・、一応客がいるわけだし・・・。で、その回廊の壁あちこちに願い事を書いて奉納すると御利益が得られるというミニ観音販売のポスターが貼り付けてある。それによると「毎日住職が心を込めて祈祷させていただきます・・」などと書かれている。「マジかよ、だいたい住職いるのかよ、この寺!」などと、突っ込みを入れていると、三十三間堂入り口に到着。実はニカ、京都には殆ど縁がなく、超有名A級観光スポットである三十三間堂に行ったことはありませんし、それがいったいどんなモノであるのかさえ知りませんでしたので、ワクワクしながら入堂。

こちらも大観音同様、電気が来ていないため、内部は薄暗い。ちょうど体育館くらいの建物の真ん中が半分区切ってある状態で、まずは向かって左手から入り、反時計回りに進む。そこは巨大ジオラマが作製されており、仏陀の一生がミニチュアで表現されている。結構凝った作りで、後で貰ったパンフによると、照明・音響も楽しめるよう造られていたのだそうだ、残念。ずっと奥まで進み、今度は中央区切りの反対側へ足を踏み入れたとたん、ぶっ飛びの光景が目に飛び込んできた。なんと、等身大黄金千手観音の隊列がずらっ!観音兵卒の間に将校観音(3メートルくらいか)が数体睨みを効かし、整列させられた兵卒観音たちを監視している。中央には、これまたデカイ観音が陣取っており、部隊を統率しているではないか。うーむ、凄すぎる光景だ。しかもギャラリーはニカ一人!よく見ると全ての千手観音は同一鋳型より造られたプラスチック製品であるようだ。その証拠に横に転がっている腕や頭などの部品の質感から、どう見ても木を削り出したようには見えない。

ふうっ、と一息いれ、三十三間堂を後にする。順路では次は梵鐘仏堂。こちらは巨大な鐘が中央に据えられたイマイチの空間であった。その他五百羅漢のいる金色堂と瑠璃光殿はすでに閉鎖されて内部に立ち入ることはできませんでした。出口に向かうとやっと別の観光客が入ってきたではないか!若者カップルである。自分も大観音と一緒に写りたかったので、シャッターを押してもらった。そのついでにちょっと立ち話などしていると、どうやら彼女の方は10年くらい前にユートピア加賀の里に来たことがあり、その時は大盛況だったのだそうだ。彼女曰く「なんでこんなになっちゃったんでしょうね?」。

さて、出口付近の売店を物色していると、なんと大観音が表紙になっている御朱印帳発見!早速、お買いあげ、ということでレジへ行き、おっちゃんに「御朱印も頂けますか」と聞くと、住職いないから御朱印帳に書いてあげることはできないよ、とのこと。仕方ないので事前に書いてあるものをいただいてきました。出口を抜けると朽ちかけた看板に「遊園地こちら」の文字が・・。これは行ってみるしかないでしょう、と誘導に従い加賀寺裏へ。しばらく歩いたところにありました廃墟系スポットが・・。いまは動かぬ観覧車やジェットコースターが、しんとした園内に佇む。昔は子供たちを恐怖のどん底に陥れたお化け屋敷は、その外観自体がお化けに成りつつあり、おそらく夜になると悪ガキどもの肝試しに使われたためであろう、破壊の限りが尽くされている。さらに奥へ進むと、営業当時はレストランとして使われていたような建物に到着した。もちろん入り口には鍵がかかっているのだが、100円ロッカーの一部がちょっと移動されており、そこから中に侵入できるようになっている。薄暗い建物内部に入ってみると、加賀寺売店で売っていた黄金大観音像のミニチュア版が林立しているのだ。よく見ると段ボールが山積みになっており、その中には売れ残った観音さんたちがぎっしり。悪ガキが包装を剥がし並べていったものだろう。さすがに観音像を投げつけたりした跡は残っていなかった。

加賀寺と言い、廃墟遊園地跡と言い、珍スポファン必見の場所としてお勧めいたします。雰囲気的に何時まで保つか微妙ですので、興味のあるかは是非お早めにどうぞ。

写真:
 

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