18-6:鳥取県東伯郡大栄町 阪本資料館

所在地:鳥取県東伯郡大栄町大字西高尾

取材時期:2004年5月

ジャンル:展示系

珍スポ度: ☆☆☆(☆五個が最高得点)

コメント:
今回の山陰取材で最も期待している場所がここ阪本資料館です。ネット上にもほとんど情報が無く、いったいどんなマニアグッズを蒐集しているのか、とっても気になっておりました。そこで米子のアジア博物館より直行、と行きたかったのですが、大栄町に入ってからちょっと迷ってしまった。GPSを使ってもかなり分かりにくい場所にあるので、近くまで来たら電話してしまうのもありかもしれない。実際阪本館長にお話を伺うと、場所が分からず向かえに行った事も度々あるそうだ。

ただし、近くまで行けば丘の上に「阪本資料館」とデカデカと表示があるので直ぐに発見可能。バス停もあり、その名も「阪本資料館前」だったように記憶しております。その横で作業しているおばちゃんに「資料館やってますかね?」と尋ねると、「おとうちゃん、さっき戻ってきたから、見学出来るはずだよ」とのこと、館長の奥様だったのですね。さっそく階段を登り館前に。すると館長の阪本照夫氏が現れる。資料館といっても殆ど民家の物置といった風情だ。突然の訪問でも阪本館長、いやな顔一つせず、丁寧に案内を始めてくれる。

まずは庭から・・。「烏骨鶏(うこっけい)がいるんだよ」、ん?資料館とはあんまり関係ないような???さらに資料館入り口前には古い農具の他、イセキの空冷!トラクター初期型がドンと置いてある。「こいつもまだ動くんだよ」へぇ〜、凄すぎ「でも動作音が大きくて最近はあんまり使わんな」。さらに離れの物置にはいすゞの造ったオート三輪(前2輪、後1輪の珍しいタイプ)や旧式のハーレーなどが・・。東京市と表示のある巨大金庫も無造作に置いてあったりする。東京が市だったのっていったいいつ頃の話なんだろう?

一通り外の説明が終了すると、いよいよ資料館内部だ。まずは一階の土間から。いきなりVW社のビートル君登場。程度は極上で、ドイツ製の最終バージョンらしい。確かにメキシコ製よりも一回り大きい気がする。その奥に民具がぎっしり詰まっており、中には木製手回し洗濯機などという歴史的に貴重な家財道具などもあり、気が抜けない。一番奥には、なんと昔電話局で使われていた手動の交換台、そうあのヘッドホンをした交換手が線を手動で切り替えるタイプの交換台です。これが結構でかくて、館長曰く「テレビドラマの撮影に使いたいと申し出があったのだが、大きすぎてここから出せないので断ったよ」。

お次は二階だ。一応、館長的には何処に何をおいて行くのか分類されているようだが、一見様にはもうごっちゃになってしまう。でも良く見てゆくと、二階のこの間は戦前戦中関連グッズが豊富なようだ。戦時中、婦人部隊の訓練に使った竹槍!や手作りの戦艦大和(武蔵だったかも)など、見ていて楽しい。が、この間の館長ご自慢の一品は柱時計。従来の12刻みの文字盤の外側に31刻みの文字がある。時刻の他に日にちまで表示できるようになっているのだ。これは本当に貴重なものだ。このほか古いアイロンや漆器などてんこ盛り。どこぞやの大学教授が、研究資料を探しにこの資料館を訪れた際、「こういうのは資料館じゃなくて物置って言うんだ」などと失礼な発言をされたらしい。

さて隣にある二階の和室には、なんと100円札通し番号屏風や、コインコレクションがずらり。圧巻は鴨居にずらりと並べられた御当地選挙ポスターコレクション。これも何十年前からコレクションしているので、すでに亡くなられている政治家や、二世議員が活躍している人のポスターが・・。あの現防衛庁長官である石破氏の親父さんの選挙ポスターもあった(と思う)。

最後は一階の奥の間。目玉はまだ動く映写機。光源が電気式ではなく、マグネシウムであろうか?何か金属の棒状の物を溶かしつつ発光させるタイプの映写機で、貴重な逸品らしい。頼まれれば小学校等で実際に稼働させる事もあるという。また、近くの廃校になる小学校から譲り受けたピアノや、蓄音機・真空管式のラジオなど古い物が一杯。なぜか宇和島の凸凹神社のお守りなんかもあって、ちょっとお茶目でもある。

一通り見学させていただき、お腹一杯になったところで、見学終了。凄い所ですね、近くの小学生・中学生が社会科見学として良く訪れるそうですが、最近はウェブの紹介を見て来る人も増えてきたそうです。おきまりの、「どうやって集めたんですか?」の質問をしてみると、趣味で民具をちょっと集めていたら、これをもらってくれ、アレをもらってくれ、とどんどん貯まっていったのだよ、との事。それにしても凄い数の収集品である。ぴかぴかの郷土資料館ではなく、この土間にいつまでも展示していて欲しい、と感じたのはニカだけだろうか。

写真:  
   

リンク等:

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