#1172/1172 ことばの海 ★タイトル (NLF06372) 94/ 5/19 0:22 ( 29) 「アカ新聞」について(なぜ片仮名か) 空山 ★内容  小沢一郎氏の発言が朝日新聞上で「朝日新聞というのはアカ新聞かブラックジャー ナリズムかと思った」と記されていますが、なぜ「赤新聞」と書かずに「アカ新聞」 と表記したのでしょうか。小沢氏が「ここは片仮名でね」なんていうはずはないです から、これは朝日新聞の表記だと思われます。他の新聞は見ておりませんから解りま せん。  『朝日新聞の用語の手びき』によると、片仮名を使うのは、 1常用漢字表とその音訓の範囲内で書けない動植物名。 2外国(中国、朝鮮などを除く)の地名、人名 3外来語 4擬音、擬声語 5擬態語 6俗語や隠語 7△カ所、△カ条、××町五ノ六などの場合の「カ」「ノ」。 8このほか、ニュアンスを出すためや、平仮名文中での埋没を避けるためなどに使う。 の8つだそうですが、この場合は6か8だと思われます。  さて、この「赤新聞」という語、新聞に載せる場合、注釈なしでいいのでしょうか。 「だれにも分かる平易な文章」を目指しているはずの新聞ですから、この言葉には注 釈をつけた方がいいと思います。新聞業界では皆が知っている一般的な語かもしれま せんし、小型の国語辞書にも載っていますが、私自身は数年前に、昔(戦前)の新語 辞典を見ていて知った語です。また「赤新聞」と表記してあれば「どういう意味だろ う?」と疑問に思って辞書を引く、ということも期待出来ますが、「アカ」と表記し てあると、共産主義者の「俗称」のアカであろうと類推してしまい、解った気になる、 という一番困った事態になります。勘繰れば「小沢は滅茶苦茶なこというとるんやな」 と読者に思わせるための表記とも思えます。  赤新聞 故意に他の秘密を訐き、或は無根の事実を捏造して読者の好奇心を煽 り又は脅迫して金にせんとする低級悪徳の新聞をいふ。一時此種の新聞は多く赤 色紙を用ゐたるより此名ある所以なり。(『現代新語辞典』大正13年 金子専 一郎) #1176/1176 ことばの海 ★タイトル (NLF06372) 94/ 5/27 23: 8 ( 37) 赤新聞その後 空山 ★内容  え〜〜っと、小生が申上げたかったのは、「アカ新聞」と表記することによって、 意味が誤解されやすくなる、ということでして ^_^; 、「アカ新聞」という語が有る とは思っておりません。「アカ新聞」という表記を朝日新聞が作り上げることによっ て、読者の目を霞ませようとしたのではないか、と言いたかったのです。最初は朝日 新聞に投書してやろうか、などと思って書き始めたのですが、面倒になってやめまし た。朝日新聞の投書欄には「言論の自由だ! 新聞頑張れ!」という投書が載せられ ているだけでした。  私が朝日新聞に求めたかったのは、感情論で反論するのでなく、  ・「赤新聞」とは何であるかを読者に説明し、その上で小沢氏の態度を批判し、ア   カを仮名書きしたニュアンスを読者に解らせること。 ・もし、小沢氏の言う「あかしんぶん」が辞書に載る「赤新聞」ではなく、「アカ がかった新聞」の意味であると思うのなら、小沢氏にその旨、確認すること(返 答しないだろうけど)。ついでにブラックジャーナリズムの意味も知りたい。 「赤新聞」となら類義語のような気がするが(どなたか御教示を)、「アカがか った新聞」と並立可能なのか?(辞書にyellow paper とか yellow press なん てのは載っていますが。)  産経新聞が「朝日新聞はうちとは立場が違うが……」などとコメントしてたのは、 産経が「アカ」から「左より」を連想し、「朝日は左よりだ」と思っているためにそ のようなコメントになったのではないか、と勘繰ったりもしています。(産経の反応 は朝日からの孫引きです)  『萬朝報』起源説は、『日本国語大辞典』にも載っています。しかし、黒岩涙香に なぞらえられるならば、ジャーナリストとして、恥ずべきことでは無いようにも思い ますね。亜流赤新聞が出て、それがひどかった訳なのでしょうね。