令和5年 実習

雨にも負けず 宮澤 賢治

雨にも負けず、
風にも負けず、
雪にも夏の暑さにも負けぬ
丈夫な身体を持ち、
欲はなく、
けして怒らず、
いつも静かに笑っている。

一日に玄米四合と味噌と少しの野菜を食べ、
あらゆる事を自分を感情に入れずに、
良く見聞きし、わかり、そして忘れず。
野原の松の林の陰の小さな茅葺きの小屋にいて、

東に病気の子どもあれば、行って看病してやり、
西に疲れた母あれば、行ってその稲の束を負い、
南に疲れた人あれば怖がらなくてもいいと言い、
北に喧嘩や訴訟があればつまらないからやめろといい、

日照りの時は涙を流し、
寒さの夏はおろおろ歩き、
みんなにでくのぼうと呼ばれ、
褒められもせず、苦にもされず、
そういうものに私はなりたい。