V お酒はほどほどに

 

酒に酔っ払うというのは恐ろしいものです。かく言う葦座もしょっちゅう飲み会で記憶をトバして、後日慌てて過去の探求に出かけます。

だが、葦座はアレ以上性質の悪い酔っ払いを見たことがありません。

 

アレというのは我々が高校生の頃でした。

ちょうど卒業を控えて浮かれており、男3人で酒を飲もうという事になりました。仮にHとKとします。

分かりやすく言うとHは「ちびまるこちゃん」のフジキ君を思い浮かべてもらえば大体あってます。

Hは普段から「オレのうちは代々酒に強い家系でオレは酔っ払ったことがない」と嘯いておりました。

それならばと葦座とKはペットボトル焼酎を用意してKの部屋で待ち構えておりました。流石に彼でも4リットルも焼酎を飲めば酔うだろ、と。

これが間違いの始まりでした。

我々はつまみのポップコーンをちまちま食べながら、Hにしきりに酒を勧めます。

はっきり言ってペット焼酎はまずいです。工業用アルコールといっても過言ではありません。

それでも強引に彼に飲ませること4,5杯、彼の様子がおかしくなってきました。

突然、「オレは勇者だ」「世界はオレの為にある」「世界はオレを基準とすべきだ」などと訳の分からない事を言い出しました。

葦座とKは腹を抱えながら「そうだ!そうだ!」などと囃し立ててHの様子を見守りました。

 

「そろそろコイツ、記憶ないだろう?無茶するなら今のうちだ!」

我々は彼をからかいました。

「おい、H!おまえ童貞だよなぁ。実は加えて包茎だったりするんじゃン!?」

H曰く「なわけねぇよ!!童貞だけどよぉ・・・・・・。」

「ほう、じゃあ、証拠を見せろよ!」

「おう、見ろ!」

そういってHはおもむろにパンツを脱ぎだしました。かかった!!葦座とKは大爆笑でした。

「見ろよぉ・・・・・、包茎じゃねぇだろぉ・・・・・。」

「ああ、そうだな。疑って悪かった。もういいからズボン穿けよ。」

流石に男のち*ぽ自体に悦びを感じる趣味はないのでそう言いました。

が、彼はもはや急所をしまう気力も無いのか、それとも新たな悦びに目覚めたのか、下半身裸のまま倒れてしまいました。

そしてそのまま我々に向かって

「どうだ!見たか!」

はい、見ました・・・・。もういいです。しまってください。

「悔しかったらしゃぶれ!!」

???

こいつは何を言っているんだ???

彼は盛んに「しゃぶれ!!」を連発しながら下半身裸のまま悶えています。

この時点でKと葦座はかなり後悔していました。

しかしそれはこれからの悪夢のほんの序章に過ぎませんでした。

 

Hはそのまま眠りに入ったのでとりあえず毛布を掛けて、葦座とKでちびちびと遣っていました。

暫くすると、おもむろにHが起き上がりました。

「どうした?H?便所か?」

軽くHは頷くと、下半身裸のまま部屋のストーブ(この時は火は付いていなかった)に腰掛けました。

足元がふらついたんだと思い、二人で立ち上がらせようとすると、

ぶりぶりぶりぶり・・・・・・・・・

深夜の飲み部屋に奇妙な音と、一瞬遅れて更に奇妙なにおいが充満しました・・・・・。

!!!!!!!!

葦座とKは凍りつきました。

特に自室であるKは既に正気を失いかけていました。

Hはそのまま前のめりに倒れこみながら、それでもスカ*ロを撒き散らします。

残念ながら、葦座もKもマニアックな趣味は持っていません。

暫く呆然とした後、事の重大さに気づき、慌ててトイレットペーパーやら、雑巾やらを用意して掃除モードです。

あまりの悪臭に耐えかねて、ティッシュを鼻の穴にありったけ突っ込んでの作業です。

葦座、文字通り他人のけつを拭いたのはこれが最初で最後です。

そのあいだにもHは寝ゲロをしたり、泡を吐いたりと大洪水です。

意識は完全に無いようです。

仕方が無いのでとりあえずHは新聞紙を敷いた上にうつぶせに寝かせて窒息だけはしないようにしました。

はっきり言ってそれどころではなかったのだが・・・・・。

一通り掃除した後、二人でストーブを捨てに行きました。

いわゆるダルマストーブだったので、鉄板の隙間から汚物が燃焼部分に落ちて付着しており、点火する度に汚物の残りカスに火がつくと思うとやってられないというKの意志に基づいての行動です。

カーペットは汚物の付着した部分を切り取って廃棄しました。

他の部分は何とか使えそうだったのでそのままにして・・・・。

 

何とか後処理を終え、Hの様子も安定してきた頃にはもう外が明るくなっていました。

葦座とKは肉体的、精神的疲労のあまり無言のまま離れ(Kの家は母屋が2つあった)の食堂でコーヒーを飲みながらこの出来事について出来るだけ忘れてしまおうと努力しました。

 

暫くそのままでいましたが、そろそろ帰らないとマズい、Hも家に帰すべきだ、という時間になりました。

仕方が無いのであの惨事の現場に戻る事にしました。

「お〜い、H〜〜!生きてるか〜〜〜。」

そういいながらKが部屋のドアを開けた瞬間、Kが

「あっ!!H!!」

と言ったまま凍りつきました。

そこには下半身裸のまま部屋にあった工具箱に腰を掛けているHの姿がありました。

じょ、じょ、じょじょ〜〜〜〜

マジかよ・・・・・・・・・!!

今度は黄金水攻めでした。

我々は何も見なかった事にしてそのままドアを閉め、離れに戻りました。

 

後日、Kは家出をしました。

後世に流行った「プチ家出」なんかではなく、本気の家出を・・・・・。

あ、今は戻ってきましたけどね、本気で半年ほど行方をくらましてました。

 

結論

お酒は二十歳になってから

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