リフォームトラブル・失敗事例集 | リフォーム失敗談生の声

No.12　　住宅会社の常識です

離れを建て増すというプランのプロデュースを知人である施主より頼まれ、施主より細かいヒアリングを行い、基本のプランを作った。 施工業者は施主の事情で、ある住宅会社と決まっていた。

初顔合わせの日、やって来たのはその住宅会社の支店長。基本プランを差し出すと黙って間取り図を手でなぞり始めた。図面にはプランが書いてあるだけ。どうしてそうなったかまでは何も書かれていない。さてそのプランのプロセスを説明しよう・・・と思った矢先に、さっさとプランを閉じられてしまった。

その後私と施主はお茶をすすりながら住宅業界の話を聞かされる事となった。 まぁその時は、多分担当は別の方になるのだろう、それからきっちり打ち合わせたら良いか・・・と大人しく座っていたわけなのだが。

数日して施主から連絡。 支店長が図面を持ってきたという。で？と続きの話を聞くと ・・・続きはなかった。 「図面を置いていっただけ。」 「後日説明に来るとかいってました？」 「いや、なにも」 「・・・・」

私は施主の元へ向かい、彼が持ってきた図面に目を通した。 見ると施主と共に作った基本プランからいくつか変更があるようだ。 「初顔合わせをして以降、住宅会社とお打ち合わせをされたのですか？」 「何のこと？」

つまり何の説明もなく勝手にプランを描き変えているのだ。 と言うか、支店長は営業なので実際に描いたのは設計のヒトなのだが。 どっちにしても、施主の下に図面が来るときは説明があって然るべき。 でも、なぜ何も言わずに帰ってしまったのか。 次回の打ち合わせはいつなんだ。 この図面は何なんだろう。いろいろと心配する施主の代わりに彼に連絡を取った。

「図面拝見いたしましたが、当初のプランからいくつか変更があるようなので設計意図をご説明を頂きたく、お電話差し上げました。」 私がこんなに下手にでる必要があるのかとも思えるがサイゴまで気持ちよく働いてもらうために気を遣った。

彼が言うには変更らしきもののすべてが CAD（パソコンで図面を描くソフトの総称）による入力ミスだという。ミスするのもどうかと思うが ミスというレベルではないような。 だって、建物全体の高さが１メートル以上も違うし。 「納まりがいろいろとございまして」　そういうレベルの話だろうか。有るべきところに有るものは無いし、無いところに妙なものはくっついてるし。

普通ならここらで施工業者を変えようかというところなのだが 施主の事情でそういうわけにもいかず。 プランがどうのこうのという話し合い以前の段階で、元の基本プランどおりの図面を作るために「図面のチェック→修正」を辛抱強く続けた。しかし図面の修正は果てしなく、なかなか終わらない。 仕方ないので、もうこれで見積もりをだしてもらうことになった。

後日支店長から見積書と図面を受け取る。早速見積書を開いてみると、「サッシ一式：○○○万円」とある。 詳細見積もりは別にあるのだと思い、早速住宅会社に連絡をとった。

「すみませんが詳細の見積もりを送ってくださいませんか？」 「はい、わかりましたぁ。お送りいたします。」 「では、よろしくお願いいたします。」 その後、見積書を送ってくれたのだが、それは前回の打ち合わせで貰ったのと同じものだった。 間違えたのかと思い再度連絡すると、その支店長の声色が変わった。

彼が言うには 「うちは、ひとつひとつ単価を拾うようなことは膨大に人件費がかかることなのでしない。 と言うか、そんなサッシを一箇所づつ出すような詳細な見積もりを作る住宅会社なんか存在しない。 あなたサマ（私）の業界とは規模が違うのだから、住宅会社の常識というのをご存知になった方がよろしいようで。」

「私が非常識でした、許して・・・。」と思わず言ってしまいそうになる程の相手側の口調。でも、待てよ。彼からすれば小さな工事のひとつに違いないが、施主が支払うお金は決して安いものではない。 汗水働いて得たお金を「大体いくら」と言われて、安心して支払えるだろうか。

彼は本当に無礼な人だったし、彼の会社のやる気も誠意も感じ取れなかった。 良い家を作ろうと思っていないヒトと 良い家を作るためのチームを組むことはできない。 もう二度と会うことも無いだろう。 （A様）

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