椋木 むくのき               別名 ムク・ムクエノキ

漢字について 
 形声 木+京 京は凱旋門の象形『』。隷書では『』と書くことが多い。 『樸樹』とも書く。
 語源は、茂(も)くの意味で、よく茂ることからいう。また、剥(む)く(老木になると樹皮がはがれること)からとも。中国名は、『糙葉樹』。

材について
ニレ科ムクノキ属の落葉広葉樹  高さ30m 直径4m 気乾比重0.65-0.90
 辺材は淡黄色、心材は黄褐色で境は明瞭ではない。環孔材。比重には変化が大きく、繊維が多少交走し、強靱(きようじん)である。エノキに似ているがそれより良質である。
 材は、皮付き床柱・器具材(野球のバット・ブラシ・クシ・工具の柄)・建築材などに使い、硬質のものは、着色してシタン・コクタン・カシの模擬材にする。現在の産出量はきわめて少ない。

その他
 乾燥した葉は角(つの)・骨細工の研摩(けんま)材に利用する。果実は卵状球形で径1.2cm、同年秋、紫黒色に熟し、食べられる。この実はムクドリが好んで食べる。エノキとして植えられている大木の中にはムクノキがかなりあるそうだ。

製作中の独り言
 繊維の強い材は、繊維に対する方向(横目)より、繊維方向(縦目)のほうが彫りにくい。丁寧に彫らないと繊維に沿って割れてしまうからだ。マメ科の多くの材と同じく、この材も彫るのに神経を使った。

 
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