櫟 くぬぎ                
        
漢字について 
 形声 木+樂 樂は、鈴型の楽器の象形。または、実のなったクヌギの象形『』。イチイと読ませるのは国字読み。『椚』・『橡』とも書く。古名はツルバミ『橡』。秩父では、ハハソともいい、ドングリをジンダンボーという。
 語源は、木(く)の木(き)(木の代表としての木、薪にする木・実を食べる木)からなど。中国名は、『麻櫟』。

材について
ブナ科コナラ属の落葉広葉樹      高さ20m直径2m気乾比重0.85
 辺材は灰白色、心材は赤褐色で美しく、カシに似ている。乾燥で狂いが出やすいが、耐朽性が強く杭(くい)や神社の鳥居にも使われたので、椚の字はこれに由来する。器具(道具の柄・桶・ソリ)・車(車軸・水車)などに使われる。テーブルなどの家具にすると美しい。木炭としては火もちがよく、最近ではシイタケの榾木(ほだぎ)として利用される。

その他
 コナラとともに雑木林のおもな林木となる。深根性で水あげがよく、傷口からは樹液が出やすいので昆虫類が集まる。実の煎汁(せんじゅう)を衣服の染色に用いた。

製作中の独り言
 もともと象形文字から来ている字なので、篆書に近い字にした。立木としてはなじみが深いが、材としては珍しい。ナラほどではないが、堅い材である。
 
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刻字画像



立木画像



染色画像