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D&G(ドゥルーズ&ガタリ)研究会は,早稲田近辺で開催する読書会を活動の中心とした,てんでんばらばらの参加者による,自由気ままな集まりです。

Googlin' inside

Intermezzo ―― ゴダール他,映画情報

△ 総目次

(1) 2005/05/14: 勝手にしゃがれ,他

話題になった多田富雄さんの免疫の意味論はぜひ読んでみたいと思いますね。おそらく人文科学にも応用することが出来そうな感じがします。

また,真鍋さんのお話もとても興味深く読ませて頂きました。まさに僕たちはみな専門は違えども,「境界」とその揺らぎについて思考しているのだと言えそうです。

amazon勝手にしやがれ

ゴダールについて僕は語る資格も能力も持ち合わせていないのですが,まずは彼のデビュー作の『勝手にしやがれ』を見るといいのではないでしょうか。偉大な作家は処女作にすべてが詰まっている人が多いですが,ゴダールもそれにもれないと思います。それ以後の彼の映画の基本的なエッセンスがほとんど詰めこまれています。

先週末にアンゲロプロスの『エレニの旅』を見に行きました。神話と歴史との独特な交差は中上健次の小説を思い起こさせました。映画が始まる前にゴダールの新作NOTRE MUSIQUEの予告編を見ました。予告編を見るとだいたいその映画の出来栄えを直感することが出来ると思いますが,今回の新作は素晴らしそうですね!

現在ゴダールに匹敵するくらいラディカルに疾走しているアーティストとして,ブラジルのミュージシャンであるカエターノ・ヴェローゾと,ドイツの舞踏家であるピナ・バウシュの名を挙げることが出来ます。この3人はその活動分野は全く違いますが,彼らの作品は観客にそれまで持っていた世界観を全く変えさせてほどの衝撃力を備えていると思います。

amazonTalk to her

ペドロ・アルモドバル監督の映画『トーク・トゥー・ハー』の中では,ギターの弾き語りをするカエターノ・ヴェローゾの甘美このうえない声を聞き,ピナ・バウシュ自らが踊る崇高としか言いようのない踊りを見ることが出来ます。この映画はぜひおすすめです!

5月24日と25日には,東京国際フォーラムでカエターノのライブが,6月11日から16日までは新宿文化大ホールでイスタンブールを舞台にしたピナの新作『ネフェス』が行われます。調べたところまだチケットは余っているようです。ぜひ行かれることをおすすめします!

さて,最近僕は自分のブログを開設しました。さまざまなテーマについてあまり肩肘張らず,軽いタッチで書き散らしていくようなPOPなブログを目指しています。勉強に疲れた時は,息抜きにぜひお越しください。――大田

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2005/05/15: ヌーヴェル・ヴァーグ,他

amazon気狂いピエロ

「ゴダールを何から観ればよいのか?」という問いは、こちらの批評眼を問われてしまうので恐ろしいですね。

教科書的に答えるならば、まずは、事実上の処女作である『勝手にしやがれ』、60年代ゴダールの代表作『気狂いピエロ』、あたりから入るのが王道ですかね。この二作を観れば、とりあえず「ゴダール映画」のエッセンスをつかめると思います。個人的には『女は女である』のでたらめぶりも好きですが。

ゴダールは70年代はどちらかといえばアンダーグラウンドな活動をしていたのですが、80年ごろからまた商業映画に復帰します。実は、僕は80年代以降のゴダールの方が好きです。なぜなら、ただただ美しく、ただただかっこいいからです!もちろん60年代のゴダールもかっこいいのですが、80年代以降はその精度があがっています。どれを観てもいいとは思いますが、王道は『新ドイツ零年』から、になるのでしょうかね? 個人的なお勧めは、『ヌーヴェル・ヴァーグ』です。何度観たかわかりませんが、いまだに話の筋がわかりません...。しかし、家中の明かりをつけて回る移動撮影のシーンだけでも観る価値があります。できればスクリーンで観てもらいたいところです。

amazonヌーヴェル・ヴァーグ

今度日仏学院で『JLG/自画像』をやるようなので、この機会に行くのもいいのでは(残念ながら僕は所用でいけません)。

たぶんエレクトロニカ好きな清水さんにはゴダールの映画は肌に合うと思いますよ。音楽の使い方もかっこいいですから。ほとんど映画の「音響派」といってもいいかもしれません。

と、ここまで書いたら、大田さんのメッセージが届きました。大田さんも『勝手にしやがれ』を推してらっしゃいますね。当然といえば当然でしょうか。大田さんのブログ、早速覗かせてもらいましたが、なかなかの充実振りです。皆さんもぜひ。

amazonThe Cell

清水さんの薦めている『細胞の分子生物学』は、駒場の生協でも平積みになってます。原書は、図版がきれいなので、前から欲しかったのですが、高くて手が出ません...。

エレクトロニカ問題は、ぜひディスカッションしましょう。ついでに、お勧めのCDがあったらぜひ教えてください。 ――大久保

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2005/05/16: 万事快調,ダンス,音楽,他

amazon 女と男のいる舗道

ゴダールは,『東風』『ウィーク・エンド』などを避ければ,大久保さん大田さんもおっしゃるように,どれも映像は素敵だし,音楽も洗練されていて,楽しめると思います。

初期のものですと,例えば,『女と男のいる舗道』は,こんなに美しい映画の女主人公を他に観たことがないので,本当に魅力です。でも結局,自分が主人公にめちゃくちゃ同情してるというのも否定できません・・・女性向きかも。

『はなればなれに』がお気に入りだという人は多いですよね? 独特のスピード感がありますし,有名なダンスのシーンもカッコいいですし(ちなみに,あのダンスシーンの引用の最も素晴らしい成功例は,ハル・ハートリーの『Simple Men』だと思うのですが,どうでしょうか? ちなみに,ダンスする曲は,ソニック・ユースの"Kool Thing"、ハートリーの映画音楽を集めた日本編集盤CD(監督のバンド)のジャケットには、そのダンスシーンが写っています。サントラはどれも、映画ビデオともども、今では滅多に手に入らないのですが・・・(こともないかも)。他に彼の映画で使われているのは、例えばマイブラ、ヨ・ラ・テンゴ、ペイブメントなどです。なんと言うセンスのよさ!)。

amazon女は女である

カラー作品だと,『気狂いピエロ』『女は女である』は,原色がキレイで楽しめますよね。

それに,60年代の映画に関しては,女主人公が男性にとって謎めいたキャラクターとして設定されているものも多く,『軽蔑』はその典型ですが,それに比べると,『女は女である』の主人公は,随分分かりやすい人物のように思います。いい加減といえばそうで,ただそれゆえ,私はあれを初めて観た時,ゴダールも結局は女に愛されたい普通の男なのだと思いました(笑)(・・・皆さんがお持ちの良いイメージを壊してしまったでしょうか?)。

ちなみに,男の欲望映画といえば,ラース・フォン・トリアーに勝るものはないというのが私見です。

amazonワン・プラス・ワン

それか清水さんがご覧になる分については,音楽がお好きということなので,『ワン・プラス・ワン』なんかもどうでしょう?エレクトロニカではないですが,ストーンズの,"Sympathy for the devil"をレコーディングした際のドキュメントフィルムなので。とはいえ,ただのドキュメンタリーではないので,あれを見ごたえ十分と考えるか,苦痛と思うかは,意見が分かれると思いますが,それでも最後,青い空をバックにあの曲が響くシーンはすごい迫力ですし,B・ジョーンズも映っていて,感動的です。ゴダールがストーンズに接近した理由も,個人的には笑えます。もし,この映画の全体が楽しめたら,『中国女』もいいと思います(・・・私は戦争とか革命ものが結局好きで,『ベトナムから遠く離れて』『カラビニエ』なども結局好きです。『アルファビル』など,SFっぽいものが私は苦手です)。

amazon万事快調

70年代では『万事快調』が好きです。でもそう言うと「変わってるね」と言われますので,まだの方も,ご覧にならなくていいと思います・・・ブレヒトを映画でどう応用するかという,私の個人的な興味でもあります。

音楽といえば

私はエレクトロニカよりはシカゴ音響系を聴いてますが,Mouse on marsだけは,ベルリンでライブに行ったことがあるのが自慢です!一応独文科出身ですので。ちなみにベルリンのMille Plateauレーベルは復活したそうですね!

amazonTalk to her

あと,アルモドバルの『トーク・トゥ・ハー』は,所々,難しいテーマを扱うのに成功しているし,カエターノのライブや,ピナのダンス(!)が観られるのは嬉しいところなのですが,アルモドバル映画の魅力そのものは,前作『オール・アバウト・マイ・マザー』の方が溢れているように思います(いちいちすみません)。それとカエターノの「クックルクー・パロマ (Cucurrucucu Paloma)」といえば,ウォン・カーワァイの『ブエノスアイレス』も見逃せないと思います(カンヌ最優秀監督賞)。クンデラの「小説の理論」を読んで,形式は違えど映画も小説とある意味同じ使命を負っており,その使命をこの映画は果たしているのではないかと思ったことがあります。私は劇場でだけでも3回観ましたが,私の友人には5回観た人も・・・。まだの方は,ご覧になってみても損はないかと思います。カエターノの主題歌だけではなく,ラストで流れる『ハッピー・トゥギャザー』も,オリジナルのタートルズのものよりずっとイイので。

ダンスといえば

パルッカ・シューレ ドイツのモダンダンス

私は先日,ドイツのパルッカ・シューレ(ドレスデンにある舞踊専門大学)と,日本のとあるダンスグループとの合同公演を見てきました。パルッカは,有名なコラオグラファー,M・ヴィグマンのお弟子さんだった方です。ヴィグマンの代表作『魔女のダンス』が演目にあったのと,週末だったこと,公演の場所が職場に近いといった風に条件がそろったので,出かけることができました。行けて本当に良かったです。もちろん,戦前から60年代の作品ですし,ピナの舞踊団と比べたら随分,古典的というか普通なのですが,この作品では,自分もまたダンサーから観られているような,ちょっと面白い体験をしました。ダンサーが魔女の仮面をつけているせいか,あと力強い振り付けのせいか,自分が見られているような気分になるんです。観る主体と客体が入れ替わる,仮面の単純な美学的効果といえなくなさそうですが,でも見ている間,いろいろ考えることがあってよかったです。――林

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2005/05/17: はなればなれに

amazonはなればなれに

ゴダールの映画はどれも感嘆させられますが,僕が一番「愛している」といっていい映画が『はなればなれに』です。

あの展開のスピード感!

アンナ・カリーナのキュートで愛らしいこと!

カフェでミシェル・ルグランの曲に合わせて3人が踊るシーンの軽やかで魅力的なこと!

冬枯れのパリの美しさ!

「一分間沈黙ゲーム」などに見られる素晴らしいギャグセンス!

地下鉄でアラゴンの詩を朗読するアンナの顔と,地下鉄の駅の看板LIBERTE(自由)が不意に重ねられた時の奇跡的といってもいい美しさ!

ルーブル美術館を3人が全速力で走り抜けるシーンの驚き!

ゴダール自身が作った『はなればなれに』の予告編は,あのスピード感あふれる本編をさらに圧縮し加速したものですが,これも素晴らしいです。

『トーク・トゥー・ハー』については,実は僕も映画としてはそれほど素晴らしいと思わなかったのですが,ピナ自身が踊るシーンとカエターノの弾き語りシーンが見れただけでも,わざわざ映画館まで足を運び1500円払ってよかったと思いました。

『ブエノスアイレス』は残念ながら未見ですが,ぜひ見てみたいと思いました。――大田

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2005/10/06: 表象文化論学会,他

清水さんから情報をいただくと,「清水さんはやっぱり生物工学の人なんだなぁ」と改めて感動しますね。僕にはわからない用語のオンパレードです...。この先21世紀を生き抜くにはゲノムの知識は必須なのかもしれませんね。さて,僕も清水さんの流れに乗って,仕入れた旬の情報をお届けしておきます。

まずは映画情報を連発で。ゴダールの80年代の傑作が大音量で聞けるレイトショウ。

映画界の「音響派」であるゴダールを爆音で楽しめるというのは,またとないチャンスです。僕が以前お勧めした作品はここでほとんど観れます。ちなみにここの映画館は結構よいプログラムを組んでますね。テオ・アンゲロプロス特集なんていうのも組まれています。勉強もせずに映画館に入り浸ってしまいそうです...。

ゴダールアワー・ミュージック

さらに,いよいよゴダールの新作が公開されましたね。

僕は昨日ようやく,借りていた『ウィーク・エンド』のDVDを見たのですが,あまりのカッコよさとギャグ連発振りに小さなパソコンの画面に釘づけになってしまいました(楽屋落ちを一つ言えば,「わたしのバッグ!!」)。

この余勢をかって,『アワー・ミュージック』も近々観に行くつもりです。この読書会に参加されている方は必ず一回は観に行くのが「掟」ですので(もちろんウソです),ぜひとも皆さん劇場に足を運びましょう(特に清水さん!)。

ポスタードイツ映画史縦断

次に,ここのホームページからリンクで飛べますが,ドイツの古い映画が観れる特集。

ここでの一番の注目作品は(非常に個人的な趣味ですが),なんといってもエルンスト・ルビッチの作品でしょう。ルビッチの作品はいわゆる「ロマンチック・コメディ」というジャンルに分類できますが,本当に小粋で,笑えて,ちょっとセンチメンタルで,だけどウェットではないという,洒脱なものばかりです。ゴダールの映画はデートには使えませんが,ルビッチならばバッチリです!(もちろん経験あり...)。もう一人のドイツの(そして亡命した)巨匠,フリッツ・ラングの傑作,「M」も上映されるようです。

学会

最後に珍しく所属学科の宣伝を。

学会を設立するにあたって,大々的に大会を開くようです(ここの学生なのによく知りません。まずい)。

結構すごいメンバーが呼ばれていますし,まだ世間的には名を知られていない人でも,クオリティーの高い人ばかりが発表します。どなたでも参加できるようですので,興味のある方はぜひ。ちなみに僕は他の研究会の日程とかち合ってしまい,参加できるかどうか分かりません。さて,どうしたものか...。 ――大久保

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