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D&G(ドゥルーズ&ガタリ)研究会は,早稲田近辺で開催する読書会を活動の中心とした,てんでんばらばらの参加者による,自由気ままな集まりです。

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Intermezzo ―― フロイト生誕150周年

△ 総目次

その1

こちら(ドイツ)は最近になって厳しい冬の寒さも幾分かゆるみ,ここニ,三日は春の先触れの使者のような暖かさを楽しむことができました。

今年はフロイト生誕150周年で,ドイツ語圏ではさまざまなシンポジウムや催し物が予定されているようです。4月7日から8月27日にかけては,ベルリンのユダヤ博物館で「PSYCHOanalyse」という名の展覧会が開催されます。ワールドカップの観戦がてらリべスキンドの建築と展覧会を同時に楽しむのもまた乙なものかもしれませんよ。

最新号の『ディ・ツァイト』紙 (Nr. 9, 23. Feb. 2006)では,「ジグムント・フロイト 2006」という特集がなんと8ページ(!)にもわたって掲載されており,さまざまな専門家がフロイトのアクテュアリティーについて論じています。ドイツ語が読める方は是非一度目を通してみてください。ちなみにネットでも読めます

その特集によれば,今日の最新のニューロン科学は,精神分析について次の三点を確証しているようです。

  1. 無意識が意識に及ぼす影響は,意識が無意識に及ぼす影響よりはるかに強い。
  2. 無意識は意識よりも時間的にはるかに先行して成立している。
  3. 意識された「自我」は,自分自身の欲望や行動の根拠についてわずかな認識しか持たない。

話は変わって,今ドイツでは『素粒子』(Elementarteilchen)という映画が話題になっています。フランスの作家ミシェル・ウエルベックによる小説『素粒子』を,ドイツの監督Oskar Roehlerが映画化したものです。今年の1月に野崎歓による訳がちくま学芸文庫から出たはずです。個人の欲望を無際限に肯定する資本主義社会は,なぜ人々を抑圧せずにはおかないのか,というテーマを扱った力作であり,ドゥルーズ=ガタリの哲学との接点も感じます。読んだことのない方はぜひ一読をお勧めします!

それでは,皆さんと夏に再会できることを楽しみに待っています。――大田

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その2

ドイツは5月に入ってからずっと暖かい日が続いています。ドイツでは今年はフロイトがかなり盛り上がっています。どの書店にいってもフロイト関連本が平積みにされており、テレビや雑誌では頻繁にフロイトの特集が組まれています。

再来週ゼミでフロイトの論文『不気味なもの』についての発表をする予定で、最近は精神分析関係の本を良く読んでいます。

今年の3月末に『フロイト・ハンドブック』(Freud Handbuch)という本が出ました。(ハンドブックというよりは、辞典に近いです。)精神分析誕生の時代背景、フロイトの各論文の解説と各論文についての二次文献の紹介、精神分析の受容史 (哲学、マルクス主義、フェミニズム/ジェンダー・スタディーズ、カルチュラル・スタディーズ、社会学、人類学映画理論、文学理論)などさまざまな項目について、長すぎず、短すぎず、要領よく記述されており、初心者から専門家まで満足できる内容だと思います。ちなみに64.95ユーロ(amazon.co.jpでは9,178円でした)です。ちょっと高いかもしれませんが、ドイツ語が読め、フロイトを使って何かをしようと思う方は必読といっても過言ではないと思います。――大田

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