ハイアイアイ通信 6号


速報:『鼻行類』に記載されていない鼻行類の一種についての報告

(Date unknown)

 取り急ぎ報告まで。シュテュンプケが『鼻行類』の中で報告していない鼻行類の一種を目にした。今までに知られているどの鼻行類とも類似していないことから本種はまったく新しいグループに属するべきだと思われる。
 ここに簡単なスケッチを示したが、全体に細長く、この形状、動作からハイアイアイ・ダーウィン研究所の所員たちは「ヘビハナアルキ」と呼んでいる。私もそれにならうことにする。
 全長(鼻の先から尾の先まで)は250mm程度、そのうち鼻:頭・胴:尾の割合は1.2:1:1.8といったところだろう。後肢は外見上は全く欠落し、前肢も極めて矮小化している。鼻器は長く伸び、分岐は認められない。尾に先端まで骨が通り、筋肉組織の発達により自在に、そしてかなり強力に動かすことができる。全身は短い毛に被われ、やや緑がかった褐色をしている。これは本種の主な生息域、水辺の植物の色によく似ている。
 食性は詳しく調べられていないが、私が数時間観察したところでは主に植物の種子を食べており、動物性のものは食べないようだ。
 普段は岸辺に生える植物の茎に絡み付き、あまり動かない。時折餌を求めて動くこともあるが、その時の動作はかなり緩慢である。体色が保護色なのと、ほとんど天敵となる動物もいないことから俊敏な動作が必要ないのだろうか。
 所員の一人によれば、ヘビハナアルキの新生児は鼻、尾とも未発達である一方、前肢は比較的発達しており、これで親に掴まるのではないかと想像される。ヘビハナアルキの成体には咽の辺りに袋状の器官があり、育児嚢として機能するのではないかと思われる。同様の器官はナゾベーム属のものにも見られるが、ヘビハナアルキでは開口方向が逆向きであり、全く違った起源を持つものと考えるべきであろう。
 今回の報告はこの程度にとどめたい。詳しいことが明らかになり次第、追って報告する。(つづく)


目次

Copyright 2000 Nasobem Research Center,All-Rights Reserved.