前進座創立70周年記念公演

「魚屋宗五郎」「操り三番叟」「口上」


作/河竹黙阿弥<宗五郎>


出 演

中村梅之助

藤川矢之輔

山村邦次郎

嵐 広也



前進座の「魚屋宗五郎」
 妹おつたが無実の罪で殺されたとあって、禁酒を誓っていた宗五郎が、悔しさのあまり冷酒を二杯、三杯と飲むうちに酒乱の本性をあらわし・・・。腹の虫が治まらない宗五郎は「非道な殿に言い分を言わなきゃ気がすまねえ」と女房のおはま達が止めるのも聞かず、白木の角樽をふりあげて磯部のお屋敷へかけだして行く。今回女房おはま役の山村邦次郎さんは五月の国立劇場にて瀬川菊之丞を襲名披露されました。心強い前進座の当代女形として、国太郎さんともども大きな期待がかかています。

躍動感あふれる「操り三番叟」
 三番叟は能の「翁」を歌舞伎に移したもので、翁、千歳は天下泰平と長寿を、三番叟は五穀豊穣を祈って舞う神聖な儀式曲として重く扱われ、演者は身を清めて勤めたといわれています。歌舞伎に取り入れられるようになって、本来の祝儀物として上演される「寿式三番叟」とは別に「舌出し三番叟」「二人三番叟」「操り三番叟」「廓三番叟」といったものが作られ、「操り三番叟」は三番叟が糸操りの人形になって踊るという発想が奇抜でシャレており、数多い三番叟の中でも屈指の人気を誇っています。人形遣いが箱から三番叟を出し手糸の板を調べ、三番叟の烏帽子の糸を張ると揉出しになります。三番叟の糸が切れたりからまって回ったりするのがなんとも楽しく面白い工夫です。三番叟の心得は足に力をいれないことです。三番叟は拍子を踏みますが、あくまでも上から吊られている心で、ごく軽く踏むのがコツ。糸がもつれてクルクル回って倒れたり、人形遣いが糸を調べたり、と人形遣いも踊り手と一体になって舞台を盛りあげるわけで、イキが合わないとせっかくの人形ぶりの面白さも半減する重要な役どころです。人形身ということから表情−特に目の動きを殺し、手足も直線的に動かすというところが難しい点です。踊り手としてはかなりのテクニックが必要な上、感情を封じられるわけでなかなか至難な踊りです。

<奈良演劇鑑賞会ニュースより>
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