地人会「ピアフ−生命、燃えつきて−

愛の殉教者は歌い続けた!



作 /宮本 研
演出/木村光一

出 演

上月 晃

山口嘉三/岡野進一郎/棟方巴里爾/塾一久

井上文彦/楠見尚己/相原一夫/加藤亮夫

村治学/大原康裕/北村昌子/森田育代

向井薫/工藤ゆり/為ヶ谷佳代/佐藤恵子


<解説>

 舗道の水溜りに落ちて、必死にもがく傷ついた小雀。               
 一九一五年の冬、パリの路上で生をうけ、文字通りモーム・ピアフ(小さな雀)として
10才の時からパリの下町を流して歩いた少女は、人生の汚濁と苦しみの中に育った。 
 孤独と疾病と貧困から逃れるため、絶えず死との対決を迫られる彼女にとって、愛する
こと、愛されることは、生きること。そして生きることは歌うことだった。      
<街の歌手>として−。                             
 街はたえず、メリーゴーランドのように、人々の心にひそむ深い悲しみ、ささやかな喜
び、はかない希望をのせて、絶えず回り続けていた。                
 ピアフは、そんなパリの街を絶叫した。人間たちのあらゆる喜びと苦しみと、生の歓喜
と死の苦悩とを。第二次世界大戦前後の暗く荒廃した人々の生活に、絶叫することの意味
を教えた。                                   
 しかし、ピアフ、小さな雀。世界の圧倒的な共感に支えられながらも、彼女はいつも、
一人であった。数十回の恋愛体験も、その淋しさ故ではなかったか。彼女は知っていたの
である。だから、ピアフは歌う、愛の歌を、力強い歌声で−傷ついた無数の人々の心をい
やすかのように。                                
 一九六三年秋、48才で逝く。ひとつひとつの夢を喰いちぎるように生きたピアフは燃
えつきた。                                   
 しかし、パリの街は、メリーゴーランドのように喧噪に湧きかえる。ピアフは、なおも
あらゆる街角に生き続ける・・・・。                       

<パンフレットより>

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