劇団民藝「君はいま、何処に・・・」

戦争の傷痕と向きあう父娘の絆  



原作/小島政二郎
脚本/砂田量爾 
演出/高橋清祐 

出 演

大滝秀治/奈良岡朋子 

高山秀雄/安田正利/石森武雄/茂木繁/戸田雅夫/森良夫

入江杏子/水原英子/伊藤ひろ子/河野しずか/森下美智子


<物語>

時は1962年、秋。田島家の引っ越し。
かなり名の売れた作家であり、生粋の江戸っ子である田島柾二郎(大滝秀治)にとって、
ただひとつの気がかりは母を失った家庭を守り、嫁にも行けず三十路もすぎた娘、みこ(奈良岡朋子)の身体のことです。
戦争中、学徒動員で過酷に働かされたみこは身体を蝕まれ、
快活にふるまってはいるものの残された時間に限りのあることを暗黙のうちに知っているからです。
もし自分が先に逝ってしまったらひとり残された娘の将来は・・・と考えた柾二郎は、
今の家を小さな家に買換えて、その差額を残すことにしました。
ところが亡き妻の名義にしてあったばかりに、いざ引っ越してみたら相続税という得体のしれぬ税法のために、
手元には残らない羽目になってしまいます。
国は娘の青春を奪ったばかりかその将来も・・・柾二郎は怒ります。
もの書く以外には、まったく世間知らずのそんな父をみては
「親父しっかりしろよ」と母親のようになだめたり、叱りつけたり、
一見荒っぽいやりとりながら、その底にはたがいを思いやるあたたかさがあふれています。
また、柾二郎には、かねてから再婚を希望していた女性がいました。
やっとそれが実現したものの、
彼女はみこを傷つけるのではと宿泊は許しませんでした。しかし・・・。

(パンフレットより)

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