劇団文化座「サンダカン八番娼館」底辺女性史序章

まなざしの邂逅がよびおこす歴史の暗夜「唐人行」。
蒼茫の海は苦界の涙か−。



 作 /山崎朋子
演出/鈴木光枝

出 演

鈴木光枝/河村久子/佐々木愛/遠藤慎子/有賀ひろみ 

小林真喜子/高橋信子/阿部敦子/大井川象子/日高朋子

小金井宣夫/斎藤三勇/大野紀志夫/阪井康人 ほか  


<解説>

 第一次大戦に勝利し一等国を自認するようになった日本は1920年、海外廃娼令を発布する。
しかしそれまでに幾万という年端も行かぬ娘たちが故郷を後にして「からゆきさん」として大陸に
渡って行ったことか。身を売って家を支える以外方策がなく、異郷の空を紅く染めあげるほどに心
と体を焼きつくし薄幸の生涯を終えていった女性たち・・・                 
 1968年8月はじめ、女性史研究家・野崎芳子は「からゆきさん」の実態を調査しようと、5
万とも10万ともいわれるからゆきさんを送り出した天草の地を訪れる。だが土地の人々の口は固
かった。たまたま入った食堂で「こまんかとき外国さん行ってた人間だ」という老婆・山川サキと
運命的な出会いをする。所用にかこつけて訪れたサキの家は近所の者でも上がったことのないほど
荒れていた。芳子は意を決して部屋にあがりいつしか昼寝までしてしまう。サキは芳子に好意を持
つようになっていた。                                  
 2カ月後。サキから「外国さん」の話を聞き出すべく住み込みを覚悟して再び天草を訪れる。だ
が話がそのことに及ぶとサキの口は重く芳子は次第に焦りを感じる。村人たちも芳子の身元を疑い
はじめた・・・                                     
 暗澹のおもいにかられる芳子にサキは自らサンダカンでの生き様を語りはじめる。次第に明らか
になる娼館での生活。からゆきさんの実態とは・・・                    
 どんなものも揺るがすことのできない魂の崇高さ、人と人とに通いあう心のぬくもり、サキと芳
子のふれあいを通して今の私たちを見据えてみたいと思います。               

(パンフレットより)

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