9801キーボードをDOS/V用に改造してみました。
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私の好きな9801キーボードを分解してみました。
自作したDOS/Vに合うように、
FEPを出すのには「ALT」+「漢字」キーですが、98キーボードには「漢字」キーがないので「STOP」にアサインされます。ところが、98キーボードはこの「STOP」キーがムチャ重いのです。そこで、キータッチを軽くして、キートップも変更しました。
 使っていない98キーボードはたくさん持っているので、1つ分解して、パーツ取りして作っています。
名前は「NEC−105キーボード」と名付けました。


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(ただし、350kバイトほどありますので、51kモデムでは表示に3分ほどかかります。)







 まず、
 なぜ私は9801のキーボードが好きなのかを考えてみました。
 理由は2つ考えられます。

 一つはNECのコンピュータが値段が高くて買えなかったから。(トラウマですかね)
 もう一つは、分解して分かった、NECのこだわり、お金のかけ方でしょうか。

 (もちろん、だからと言って全ての人に受け入れてもらおうとは思ってはいません。また、お金をかければ素晴らしいという気もありません。しかし、「こだわり」を持つのは大事だと思うのです。)


それではDOS/V用に改造してみましょう。



1、なんと言ってもPS/2
 どう考えても素人には98キーボードをPS/2にするのは無理ですね。コネクターだけを換えても対応しませんから。そこで、「まごの手本舗」さんのNECからPS/2への変換器を購入しました。
 ケース付き完成品 5000円
 ケースなし完成品 3000円
 アサイン変換ROMチップ 500円
 共に送料500円

 私は、ケースは自作することにして、ケースなし完成品を買いました。



2、得意の分解
 分解は、ネジを外しての爪外しから行います。
 ネジは裏にある一本だけですのですぐ分かります。
 爪は4カ所にマイナスドライバーを入れて外し、その後、横にずらすようにこじあけます。
 爪は、こじるような感じで外します。



3、改造は簡単
 うまく割れたら、まずは、ケーブルを取る方が作業しやすいですね。

 次にキートップを外します。
 色が違うのが分かるでしょうか。水色で黄色の帯のスイッチが強いスプリング付きの固いキーです。
 この水色を外して、黒い適度な堅さのスプリングのスイッチに取り替えます。

 このスイッチがバラバラのパーツを組んで作られています。なんと、手間・暇・お金をかけて作ったのでしょう。
 メンブレン式という、フレキシブル・プリント基板とゴムの組み合わせで作られたものが、現在のほとんどのキーボードで使われている形式(テレビのリモコンなんかもこの形式ですね。)ですが、コストがかからないのがよく分かると思います。

 このスイッチを外すには、基板の裏側に
 大きくハンダが盛られたラインが5列(ホントは6列だけれど下の一列分はあまりはっきりと現れていない。)ありますので、これを一つのスイッチに付き二つ外すと取れます。

 スイッチの鉄の黒い板と基板とに、かなりの隙間がある事から分かるとおり、かなりの厚みがあります。

 ハイエナ後の基板を見れば、スイッチが独立していることがよく分かります。

 私はハンダ吸い取り線で取りました。黒い焦げ跡が痛々しいです。ハンダをしっかり、また、一回で吸い取らないと、基板から外れにくくなります。少し冷やしてプラスチックが固くなったところでラジオペンチでゆっくり左右に振ると外れます。力まかせにやるとスイッチが壊れます。




4、お金のかかった作りだこと
 この独立したスイッチが105個ハンダ付けされているわけですね。手間・暇かけてよくも作ったモノだと感心しますね。

 また、このスイッチの白タイプ(軽いタッチのスプリングの柔らかい方)を分解してみました。実は、基板から外すときに、冷めないうちに引っ張ったら壊れたのです。プラスチック部が薄くて柔らかく、中身は空洞なので、柔らかいうちに力を加えると、すぐに逝ってしまいます。
 失敗しないこつは、引っ張る前に、ハンダしてあった足を裏から押しておくことですね。釘の頭が滑り止めが付いているので使いやすかったですね。

 特に、このスイッチ部がすごいですね。
 金メッキされた2枚の金属板が、キーを押すことで接触します。接点も2カ所あってナナメに押された場合にも備えています。そしてキーの3分の2くらい押し込んだ所で金属板がふれあうカチッというクリック音がします。これが気持ちがいいですね。




5、98配列のキーボードを106配列に
 キーの配置が98配列ですね。
 「ROOLL DOWN」を「DEL」の位置にして、
 「DEL」を「ROOLL UP」、
 「ROOLL UP」を「ROOLL DOWN」に
 入れ替えればDOS/V用106キーボードと似た配列になって使いやすくなるりますね。
 基板のプリントパターンをカッターで切って、配線を入れ替えればOKですね。

 配線(ジャンパー線)は、テスターが行方不明になったので、全てを切って基板から浮かせた上でジャンパーしまくったのですが、後でテスターを発見して導通を見ると、どうやら、少なくとも79番から91番のキーはキーボードマトリックスの横の番地が同じようで切らなくても良かったみたいですね。
 特に79番から83番くらいまではつながっているのが配線を目で追えばすぐ分かりますね。そこにテスターを当てて、どこが共通か「0Ω」を探していけば切らなくても良かった所が見えるはずです。
 あと、「漢字(STOP)」と「ESC」も入れ替えるといいですね。もう106キーボードとほとんど使用感は変わらなくなりますね。ただ、頭の中にノーマルと改造キーボードとの区別をしっかりしておかないと、98ノーマルキーボードを使うときも自然に指が106キーボード配列に行ってしまうので間違いが起こりやすいですが・・・。
 そんなたいした改造でもないので、仕上がりに気をつけると売っている物と変わらないものができますね。ちなみに私は予備をもう一つ作ってあります。




6、完成
 こうして、完成の日の目を見たのですが、もう一つ・・・。
 せっかく一つのキーボードをつぶして作ったのだから、余った部品でひと工夫を考えました。
 キートップの模様替えです。
 「STOP」キーを「ESC」に。
 「GRAF」キーを「ALT」に。
 「ESC」キーを「漢字」キーにするために、テープを貼りました。
 そして、
 「COPY」キーを「−」にかえました。
 また、
 「ROOLL DOWN」を「DEL」に。
 「DEL」を「ROOLL UP」に。
 「ROOLL UP」を「ROOLL DOWN」に。
 これは、キーの高さが違うので失敗かなと思いましたが、かえって「DEL」キーが高くなった分、指に当たるので、ブラインドタッチでもすぐ分かるようになりました。(棚からぼた餅・一石二鳥とはこの事?)
 それに、98キーボードの唯一の欠点だと思っていた、「ROLL UP」「ROLL DOUN」の画面スクロールがどちらか判りづらいという事が解消され、見たままの感覚的に使えるDOS/Vキーボードそのままで、自分としては、文句の付けようのないキーボードが出来上がりました。

 あと、「f6〜f10」を「vf・1〜vf・5」のキャップ付きに換えて、一太郎用のキーデザインに換えてみました。




7、ちょっとした違い(マニアック?)
 この9801キーボードは、いろんな種類がありますね。といっても、外のロゴの印刷の違いだけで、中身は全く一緒ですが・・・。私が持っている98キーボードだけでも4種類ありました。また、コードがカールコードかストレートコードかの違いがある個体もありますね。今私が使っているキーボードのシリアルナンバーは、26095913Aです。95年に製作された、最後の13Aが型番だったように思ったのですが違いますかね?NEC製なんでしょうね。この辺りは推測です。すいません。
 ほとんどのキーボードが、台湾の一社によって作られているらしいのですが、往年のNECですから、そんなことはしないでしょうね。(たぶん!?)



8、その他のキーボード

 富士通のキーボード(FMV5120D5用)では、やっぱりメンブレンでしたね。

 この辺りからのキーボードは、パソコンメーカーが違っても、ほとんど一社が作っているようで、シリアルが似通っていますね。キータッチまで似ていますね。

 このメンブレンは、ほんとに安く作れそうですね。私はこれを水につけて中性洗剤でごしごし洗ってしまいます。(ICはしませんよ念のため)買ったばかりのように綺麗になります。でも、このキーボードはICが壊れていて、DELキーが効きません。



 次は、IBMの古いキーボードです。APTIVA Type2047(intel80486 DX2 66Mhz HDD-540M)に付いていた物です。
 確かに右上にIBMのロゴがありますが・・・。

 シリアルで気づく人も多いのではないですか。「B01」ですね。気づかない人でもこのキーボードにお世話になった人は多いと思いますので、触れば昔の感触が思い出されるのではないでしょうか。IBMだけでなく、いろいろなメーカーのDOS/Vに付属されていましたからね。単体の販売もありましたね。ショップの店頭でもよく見かけました。

 これくらい古くなると中身はメンブレンではないですが、一体式で作られています。やはりコストの問題なんでしょうね。

 しかし、基板の裏にMITSUMIのシールが貼ってあります。何の意味ですかね。Maid in Maraysiaまで書いて・・・。IBMがミツミにOEM依託して、ミツミが台湾系の会社に発注して、そこがマレーシアの工場で作らせたのでしょうね。
 一流メーカーのパーソナル・コンピュータがなぜ高いか。安いコンピュータができるのはなぜか。分かる気がしませんか。某ショップでも、直営の看板をあげていますが、それでも値段的には高いと思うのは私だけでしょうか。


 最後に、NECもXpくらいからは、一体型になっています。打鍵感からメンブレンの様に思うのですが、中まで割っていませんので想像です。・・・が、打ち味は悪いですね。




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