「僕の彼女はサイコさん・前世篇」(2003)

「僕の彼女はサイコさん2・沸騰篇」(2003)

「僕の彼女はサイコさん3・新生篇」(2005)











第一期シリーズ完結から、三年。
















「沸騰する電波、ってのは?」

「ぐつぐつぐわぐわって、沸騰する性質を持った電波だ」

 またも横から七緒が口を挟んだ。

「電波が沸騰するわけないだろ」とカゲロウ。

「そんなことは百も承知よ」と晶。「奴の妄想なんだから、理解しようとするだけ無駄。そういうものなんだと思っときなさい」

「電波とか沸騰とかって、あの食人鬼も」

「イエス。人間の頭を割って脳を啜る食人鬼も、同じことを口走っていることが確認されている。だから同一人物の可能性もあるわけ」

「そして同じような妄想を抱えている人間が最近やけに増えている。ここ数ヶ月は特に顕著だ。ボクらはそれを『沸騰系』と呼んでる」

「七緒」

 晶が咎めるような声を出した。


〜サイコトリガー 第二章「沸騰系」〜
























人の脳を喰らう連続殺人犯に家族を奪われた少年、カゲロウ。


犯人の食人鬼を追って夜ごと街を彷徨う彼は、ある日、『沸騰系』なる異常者に襲われる。


窮地のカゲロウを救ったのは、『ガーディアン・ナイツ』の構成員、椿七緒と橘晶だった。


『ガーディアン・ナイツ』は民間の保安組織だが、独自の情報網を持ち、武装し、過剰苛烈な手段で犯罪と戦っていた。


限度を超えた七緒たちの活動に、カゲロウは不快感を覚える。


だが、これまでに得た数少ない手掛かりから、自分が追う食人鬼と『沸騰系』は何らかの関係があるのではないか。


それに七緒たちも食人鬼を追っているようだ――


そう推測したカゲロウは七緒たちに詰め寄るが、この事件に関わるなと突き放されてしまう。


が、しかし。


カゲロウたちを嘲笑うように犯行を重ねる食人鬼と、事件の背後で見え隠れする『犬養リョウ』の存在。


カゲロウのクラスメイトで学級委員長の冬野ひなた、友人のシンゴも事件に巻き込まれ、状況は混迷の一途を辿る。


さらには失態から七緒たちは組織で孤立していき、カゲロウの身にはさらなる悲劇が襲いかかる。


喰うか、喰われるか。


孤独な魂を持つ少年少女たちと、恐るべき電波系食人鬼の死闘が幕を開ける!









文:「つまんなかったら小指詰めると酒の席で口走り、賭けに負けて公言するハメになった」砂浦俊一


イラスト:「いや、どうせならここはひとつハラキリでしょう」UKO







僕の彼女はサイコさん第二期シリーズ



「サイコトリガー」



新書 200ページ 頒布価格800円



お求めは某高校編集部が参加の同人誌即売会か通販にて!


















カゲロウは写真を手に取ってまじまじと見ながら、朗に尋ねた。

「風見圭一。通称、風見少年。将来、僕の義弟になるかもしれないヤツだった」

「――だった。過去形?」

「こいつになら僕の義妹を嫁にやっても良いと思ってたんだが、ちょいと事情が変わってな」

 朗はサングラスを外して、話を続ける。

「犬養リョウと風見少年。僕は二人を見つけて――」






続きは、本篇で。