サッカーボール


少し前の話である。
上の息子が運動会でサッカーボールをもらってきた。
とても柔らかな素材で作られた、運動会で頑張りましたね、という景品のボールである。

息子はとても嬉しかったらしく、お父さんと一緒にサッカーをやりたいと言うので、付き合ってやることにした。
きちんとした広い場所で遊べば良かったのかもしれない。
遊び始めて数分後、道路へとボールは転がって行った。

普段は滅多に車も通らない道なのであるが、とても運が悪かったというか、たまたま1台の車がやってきた。
道へと転がっていくボールと、それを追いかける息子、そして近づいてくる車。

危険を感じた俺は、大きな声で息子に対して叫んだ。
「とまれ!」

息子はボールを追いかけるのをやめて止まってくれた。
ボールはそのまま転がり続け、ちょうどやってきた車に轢かれた。
「パーン」
少し大きめの音がしてボールが轢かれてはじけた音とともに、車は急停止。
運転手が降りて来て、やぁびっくりした、申し訳なかったと話をする。
運転手としては、ボールを追いかけて子どもが飛び出してくるのではないか、ということがいちばん気がかりであったらしい。そりゃそうだ。
こちらこそたいへんびっくりさせてしまい、申し訳なかったと謝るものの、本当に冷や汗ものの出来事であった。結果オーライと言ってしまえばそれまでであるが、お互いに人身的な事故にならなくて本当に良かった。

もらってきたばかりのサッカーボールは、見事に破裂して無残な姿になってしまった。
大切なボールが壊れてしまった事、俺が大きな声をあげて息子を制した事、息子は彼なりにかなり大きな衝撃を受けたのだと思う。
その後しばらくは、泣きはしなかったが、かなり落ち込んだ様子であった。


その後、サッカーボールを買い求めに某GMSに行ったのだが、同じような安いボールが売ってなかったので、良い値段のするオフィシャル的なサッカーボールを購入した。
それがまた息子はとても嬉しかったらしく、その興奮が伝わってくる感じが俺としても嬉しい。

ようやく、広い場所で息子とサッカーを楽しむことが出来たのは先日のことである。親バカと言われても良いが、とても楽しい。


2010.11.8.






HOME