募金



某ネットポータルサイトのポイントやらが知らぬ間にたまっていて、
そのポイントの有効期限がもうすぐ切れるという案内メールが届いた。

ポイント通帳とやらを調べてみると、9ポイントだそうである。
リアル社会での通貨価値に換算して、 日本円で9円 の価値である。

金額がとても少額な金額だけに、そのまま放っておこうかとも思ったのだが、
各種ボランティア活動を行っている団体に、1ポイントから寄付が出来るそうだ。

たいへん少額で申し訳ないとも思ったが、捨てるよりはマシかと思い、
任意のボランティア活動を行っている団体に、その9ポイントを寄付した。

金額は、本当に申し訳ないほど少額なのではあるが、
何だかとても 良いこと をしたような充実感を覚えた。

無駄に捨てられる所であった、9円を有効活用する事が出来たのである。
そして「募金」に纏わる過去の忌まわしい記憶が甦った。

某所で大地震が起こり、職場で募金活動が行われることになった。
その当時の上司は、たいへん積極的に募金活動を取り仕切り、
「全員募金するように。おまえは1,000円以上でないと受け付けない!」
と、直接個人的に募金を回収に来たもんだ。

募金活動は、個人の意志でするものであり、強要されてするものではない。
そんな頑なな、偏っているかもしれない信念を持っていた当時の俺は、
上司のその回収活動をはっきりと断った。
大勢の人の面前である。
その上司を俺は苦手というか、はっきり言って嫌いだと思っていたから、困らせてやろうという気持もあったのかもしれない。
その場では上司は、少しばかりの恥をかいたのかも知れない。

俺は、職場ではなく、市役所の募金箱に、1,000円を募金してきた。
上司を通じてではなく、きちんと募金したかったのだ。

募金に関しての小さな小さな俺なりの反抗だったのだが、
実際の職務においてもその上司とは衝突が耐える事がなく
「転勤」と言う形で上司と部下の関係はその後すぐに終了した。

今の職場では、募金活動がある度に、率先して1,000円を入れるようにしている。
多分、その時の反動みたいなものが今でも俺の中にはあるのだろう。

何にしても、募金として集められたお金が、
本来の正しい目的の為に有効活用されることを願う。


2007.8.15.






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