聖地巡礼


久しぶりの2日連休の朝。
ここの所忙しかったせいもあって、ため込んでいた洗濯をしながら、くだらないテレビのワイドショーを朝から見ていた時、なんだか自分に対して無性に寂しい気持ちになった。疲れているからといって、ごろごろと部屋にこもってテレビを見ているだけの休日なんて、余計に疲れてしまいそうな時間の使い方ではないのか。
そう、俺には自分に課した「道の駅 スタンプラリー」をコンプリートさせるという無謀とも思われる、大きな夢があったのではないか。

なかなか2日連休という形で休日を取得出来る機会なんて少ないのだから、泊まりがけの決意を持って少しだけ遠い所まで足を伸ばしてみようと、簡単な着替えを小さな鞄に詰め込んで、いざ出発。

今まであまり行ったことのない群馬県方面に向けて、今回はスタンプラリーをしてみることにした。俺が住む長野県とは隣接する県にもかかわらず、何故だかあまり行く機会が無かったので、何となく冒険気分である。

結果から言うと、今回の2日間で新たに集めることの出来たスタンプの数は11個である。俺的にはもっともっとたくさん集めるつもりで出かけたのだが、これがなかなか難しいものだとあらためて痛感させられる結果となった。
道の駅には営業時間が定められている。その設定は駅により様々なのだが、その営業時間内でなければスタンプは基本的に押せないこと、そして地図で見ているよりも実際に走ってみると、その距離の遠いこと。そうそう短期間で効率よくスタンプだけを集めることは難儀だということを思い知らされた。

現在までに集めることの出来たスタンプ数は、総計で47個である。全743駅中のたったの47駅である。消化率にして約6.3%という感じである。全制覇という目標を掲げてはみたものの、始めたばかりなのにもかかわらずこの目標の到達が、何だかとっても遠いような気がしてきた。目標を全国制覇ではなく、関東エリア限定に大幅に下方修正したい気分である。
関東エリア限定だと仮定するならば、97駅中の33駅クリアで、消化率34%である。まずはここからかな。


唐突だか、俺は「頭文字D」が好きなのである。
単行本のみならず、ビデオ、映画、ゲームと各メディアに置いてヒットを飛ばし続けている。とても有名な作品なので説明は省略するとして、この作品中に出てくる舞台の幾つかを今回俺は実際に訪れることが出来た。
碓氷峠は長野県と群馬県を結ぶ、国道18号線のちょっとした峠道である。作品中ではインパクトブルーと称される、真子&沙雪のシルエイティが活躍する道幅のやや狭い峠道である。C-121と呼ばれるコーナーも確認することが出来たし、紅葉のやや終わりかけの美しい風景の中を満喫することが出来た。その他、妙義や赤城など漫画の中であこがれていた場所に実際に自分がいることに妙な興奮を覚えた。

あらゆるコーナーの路面には、一目でそれと判るドリフト痕が多数刻まれており、車で走ることが好きな人が遠方から多く訪れている証なのか、はたまた地元の意地が刻まれたものなのか、その路面の痕跡から俺の想像も膨みまくりである。
俺自身は車の運転は好きではあるが、決してそういう走り方をするタイプではない。が、その漫画を読んだ後や、そのゲームをやった後はかなりヤバい感じに襲われることがある。テクもないくせに走れるような気分になってしまうことがあるのだ。

もの凄い勢いで後ろから迫ってきた軽自動車に進路を譲った後、俺は正気に還った。それまでは通行量も少ないのを良いことに結構飛ばしていたのだ。俺は走りに来たんじゃないぞ、と自分に言い聞かせ、純粋にドライブを楽しむ気分に戻ることが出来た。

峠を抜けて群馬県側に出た後の、釜飯屋も漫画の設定通りで嬉しかったし、なんだか聖地を訪れたような、そんな幸せな気分に浸ることが出来た。

2003.11.7.




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