店舗クリニック


休日、自分の職場のパートさん2人と一緒に他店舗見学に行った。
見学などと言うと勉強会みたいだが、単なるダイエー優勝セールをやっている同業他社店舗へのバーゲンツアーである。
俺自身は、自社・他社を問わずに、他店舗の売場を勉強させてもらう意味で、毎週のようにあちこちへと足を運んでいるのだが、パートさんはなかなかそういう機会もないらしく、ちょっとした勉強会の意味も少しくらいはあったのではないかと思う。

今回行った ベルシャイン伊那店 は、ダイエーと フランチャイズ 契約を結ぶ、ニシザワという企業の出店する GMS である。
実際の所、その詳しい仕組みまでは、俺もなんだかよく判らないのだが、看板は「ベルシャイン」だが、中身はダイエーというスタイルの店である。
店内にはダイエーホークスの曲がバンバン流れ、店内のそこいら中には、「優勝・日本一・ありがとう」の文字がでかでかと折り込まれた 販促物 で埋め尽くされている。

俺の勤務する地域においては、ローカルスーパーは数多く出店があるものの、同規模クラスのGMSの競合店が無いのが実情だ。今回のベルシャイン伊那店も車で1時間という距離にあり、日頃の買い物を近場で済ませてしまうパートさんに置いては、なかなか行く機会も少ないのが現実となっている。
2人のパートさんの素性を簡単に紹介すると、1人は産まれも育ちも地元で一度も今回のベルシャインには行ったことが無い人で、もう1人は関西圏の産まれの人で約3年前に旦那さんの転勤に伴いこの地に住むことになり、ベルシャインに来たことはあると言う。

俺の視点と言うか今回の目的は、ベルシャイン伊那店の「優勝セール」の展開の仕方と、もう1つ、パートさん2人のその反応であった。

1つ目の目的の「優勝セール」の企業としての取り組みのスタイルには非常に参考になった。消費者の購買意欲を煽る超特価の目玉品と、利益を取るための定番商品との区別がはっきりとしており、また従業員のサービスレベルもかなり高いものであった。直営店舗のみならず、テナント店舗の優勝セールへの対応もきっちりとしており、形だけの対応ではない、情熱みたいなものを感じることが出来た。

2つ目の目的の結果は、俺の想定していた通りであり、それがかなり残念な結果であったことが悲しいものとなってしまった。
「あんまり安くなかったね」
そう、すべての結果は、この一言なのである。

パートさんは、消費者の代表であると俺は考えている。
経営・販売者側の視点からではなく、消費者側の視点に立った発言・行動を常にしてくれている点については俺も以前から彼女らの意見を参考にさせてもらっていた。実際の消費の鍵を強く握る主婦である彼女らの感想がこういう結果なのである。

珍しいもの、便利なもの、ここでしか手に入らないもの、いろいろこだわって吟味を重ねても、一番最初に出てくる言葉は「安い」か「高い」のどちらかであり、購買という結果につながるのは「安い」方というのが現実なのである。

彼女らが店を後にする時に手に提げていた 、ガゼット袋 にはそんなに多くの品物は入っていなかった。彼女らが提げている袋の数が1つずつなのに対して、俺は3つ+箱物1つというバーゲンツアーの結果である。

俺は「売り手」としてのヒントを得るためにここに来たのである。彼女らより多くの買い物をする為に来たのではないのである。
なんでこんなに俺は買ってしまうんだ。
そして彼女らはなんでこんなに買わないのだ。

俺の「売り手」そして、「買い手」としての感覚は、消費者の代表と俺が勝手に位置づけていた彼女らとは、あまり合っていないことだけは判った。
それが判っただけでも今回の収穫とするべきか。

2003.10.31.




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