牛肉値上げ?


8月1日より輸入牛肉に課せられる関税率が38.5%から50%に引き上げられる。
マスコミ報道でも「牛肉値上げ」というような見出しで、ここ最近大々的に報道されているので、何となく見聞きして知っている人も多いと思う。

食肉を販売する職業の立場から、ひとこと言わせていただきたい。
「納得いかないぞ!!」

いわゆるセーフガードとは、4半期の輸入量が前年の117%を越えた場合に自動的に発動される仕組みの法律である。国内の生産者を守る為に作られた法律なのである。
俺はこの「自動的に」と言うのがたいへん気に入らない。

比較している前年の数字というのは、狂牛病(BSE)騒ぎによる、風評被害によってどん底まで落ち込んだ、たいへん低い水準の数字なのである。こんな低い数字と今年のそれとを比べて何をしようって言うんだ。
前年対比ではなく、例年対比で比較したら、まだまだ現在の数字なんて言うのは、低い水準のものなのである。日本の法律は日本を守る為にあるんだったら、この落ち込んだ消費水準を少しでも活性化させる為に、機転を効かせてくれって言うものだ。

ちなみに余談になるが、俺の勤める会社においては、輸入牛肉の店頭価格の値上げをしないで、据え置く事を決めている。仕入れ原価は当然上がっているので、自分の所の利益が圧迫される事を承知の上での決断である。

マスコミ報道を聞きかじった消費者が今日も俺にこう尋ねてきた。
「牛肉、値上げするんだってねぇ?」
「もう値上げしたの、これ?」
今までと同じ価格で販売している牛肉をその消費者は手に取り、けしからん!!という勢いで販売員の俺に詰め寄ってくる。

こういう馬鹿にはうんざりだが、イメージでしか動かない消費者の購買意欲を少しでも上げようとする気はあるのかと、俺は大馬鹿な行政に対してマジで問いつめたい。

大衆心理を掴みたいなら、もう少し違った毛色の報道をしろってもんだよ、マスコミ。
値上げしないのなら、もっとそれをPRしろよ、俺の会社。
この国の経済を活性化したいんだったら、もう少しまともに働けよ、農水省の役人。
そして消費者ももう少しだけ、他人から刷り込まれたイメージではない、自分の目で物事を考えてくれ。

2003.7.31.




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