暴走爺


交差点で信号待ちをしていた時の事。
俺の目の前の横断歩道を、老婆がよぼよぼと自転車を引いて横断を始めた。
よぼよぼという表現は失礼に当たるのかもしれないが、本当によぼよぼとしていたので、この表現をあえて使用するものとする。
その時、信号に従って右折してきた車両が老婆の前をかすめるようにして突っ込んできた。交差点に進入して来るにしてはかなり速いスピードである。
俺はその一部始終を傍観者として観察していたのだが、かなりヒヤリとさせられた。右折車両の運転手にはどうやら老婆が見えていなかったようである。本当にあわやと言う所で、運転手は老婆に気が付きぎりぎりの所で速度を落としながらも、老婆に道を譲ることなく、その前をかすめて走り去っていったのである。
その走り去っていく車両の運転手は推定70歳以上の老爺であったのだが、その走り去っていく時の表情が印象的であった。
まるで汚い物を見るかのような視線を老婆に向けたのである。

事故を起こしそうになった時の人の表情とはあんな物ではないはずである。驚いた感じや、申し訳なさそうな雰囲気はその老爺の表情からはまったく見て取ることが出来なかった。
そんなんでいいのか。ルールとかマナー以前の問題だろ。
あんな風にはなりたくないものだね。

2002.10.4.




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