ローカル魂


出身地が近いから、と妙に親近感を憶えてみたり、
同年代だという理由だけで盛り上がってみたりする。

高校野球では、実はよく知りもしない地元高校を応援するし、
オリンピックでは、昨日まで知らなかった日本人選手の活躍に期待する。

味噌の色やダシの濃さの違いで、自分の故郷を懐かしんみたり、
方言やなまりの違いだけで、実は他人と微妙に距離を置いてみたり。

海外で活躍するイチローやサカモトやクロサワを誇りに思ったりして、
実際の所はどんな風に活躍しているのかよく知らなかったりもする。

公約も素性も知らない地元の政治家をちょっとだけ気にしてみたり、
投票にも行ってないのに、良いだの悪いだの評論家の真似事もしてみたり。

テレビの前の安全な所に自分はいるだけなのに、
海外での事故では、日本人の安否が気になってみたり。

売れる前からちょっと名前を知っている有名人を、
まるで自分が育てたかのように自慢気に触れ回ってみたり。

派閥や談合という制度を否定しながらも、実は一人では何も出来なくて、
傷を舐め合える相手にだけは心を開いてみたり。

小市民という言葉に妙に反感を憶え、変にプライド意識だけは高いくせに、
上を見る事を否定して、下ばかりを見て安心してみたり。

お題目の付け方や、言い訳だけが上達している自分に気付いているくせに、
現状に留まる事をどこかで望む、保守的な自分にまた言い訳してみたり。

くすぶり続けているローカル魂に大きな火をつけろ。
ダメとか恥ずかしいとかじゃなくて、大切に持ち続けるものを見極めろ。

2001.9.18.




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