気まずい会話


聞いてはいけないような内容の会話になってしまった時、どうする?

単なる屋外でしかない、喫煙所と名前のつけられたその場所では、男も女も老いも若きも、顔を合わせればくだらない挨拶程度の会話をかわすのが常だ。
その日はまだ比較的若い女性のパートさんと俺がそこにいた。
夕方、天気はちょっと下り坂っぽい雰囲気。

俺:「勤めに出ていると洗濯物とか取り込めないから天気が気になるでしょ?」
パートさん:「ダンナがやってくれるから大丈夫よ」
俺:「あ、旦那さんも平日が休みのお仕事なの?」
パート:「今、精神的な病気で自宅療養中なの」
俺:「あ、そうなんだ・・・」

聞いてはいけないことを聞いてしまったような気がした。
普通の病気と違って、「精神の病気」が特別なものに思えてしまうのは、俺の考えすぎだろうか?ひょっとしたら差別的な思想が俺のどこか奥深い所にあったりするのかもしれない。
この会話はここでなんとなく終わってしまったのだが、この先会話を続けていくとしたら、次の2つのパターンに別れるのが普通だろう。
1.精神的な病気とはどんなものなのか、詳しく聞いてみる。
2.悪いこと聞いて「ごめんね」と軽く謝って、「お大事に」程度のお見舞いの言葉を添える。

俺はどっちも出来なかったのだよ。
死んだ人の話を相手にさせてしまった時は、軽く失礼をわびるのが礼儀なんだろうが、こういう場合はどうしたら良いのだろうか。
謝ってしまった時点で、自分が失礼だったことを認めてしまうということから、会話の内容が失礼だったということになり、かえって相手の気持ちを侮辱してしまうことになるのではないか、と俺はそれが気になってしようがないのだ。
かと言って、根掘り葉掘り聞いてみるのもその辺にうじゃうじゃ生息するオバタリアンみたいでイヤだし。
こういう時ってみんなどうしてるの?

2000.4.10.




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