はじめての乳輪


俺がまだ小学生の頃だっただろうか、という昔の話。
今やお昼の顔の番組となったタモリの「笑っていいとも!」という番組がスタートしてまだ間もなかった頃、その番組が話題になっている事は情報として知っていたが、その時の俺はまだその番組を見たことがなかった。
夏休みか何かだったのだろうか、平日に自分の家で昼飯を食べるなんて事は、そういう時期じゃないとあり得ないから、多分夏休みだったのだろう。
母親が昼飯を作ってくれている間、俺はテレビの置いてある居間にいた。俺はテレビを見る気は無かったのだが、母親がこの番組は面白いのよ、とか何とか言ってテレビをつけたように思う。
テレホンショッキングなるコーナーが終わった後に、その当時は「おじさんは怒っているんだぞ」というコーナーをやっていた。タモリが海賊風のアイパッチならぬ黒い眼帯をつけて、その日のテーマに合わせて毒舌を吐くというようなコーナーだった。
俺がはじめて見るというのに・・・母親が面白いからと薦めてくれて見たお昼の番組だと言うのに・・・テレビの画面にいきなり映し出されたのはダッダーン!ボヨヨン、ボヨヨン (古過ぎ?) といった感じの裸のお姉様たちのヌード写真集だった。
タモリが何に怒っているのかと言えば、「おっぱいは、でかけりゃいいってもんじゃない。乳輪とのバランスが大切なんだ!」などと主張していた。確かに画面に映しだされているお姉様のそれは妙に大きかったように覚えている。
その当時の俺はまだ乳輪なんて言葉は知らなかったし、そのサイズが人によって違うなんてことも知る由もなかったのだが、真っ昼間からなんて素敵な (いやらしい) 番組なんだろうってドキドキした事だけ、妙にリアルに思い出すことが出来る。
しかし、母親が昼飯を作り終わって台所から居間の方にやって来た時には、あわててチャンネルを変えたね。やっぱ母親の前じゃ気まずかったなぁ。

俺が乳輪という言葉を覚えたのはタモリの番組だったのだな。

2000.3.5.




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