積む楽しみ


昨年の夏が終わったあと。
この秋は読書をしよう!と思い立った。
星新一さんって知っているだろうか?
ショートショートというジャンルを開拓し、そしてそのスタイルを世に広めた事でも有名な人である。主にSFストーリーの作品が多く、読後に何かを考えさせられるような気のきいたオチが用意されていることが多いのも作風である。
俺は中学生ぐらいの時に友人に借りた1冊の本がきっかけで、この人のファンになったのだが、現在になって読み返してみたいと思った時には、手元にはろくに本が残っていなかった。処分してしまったのだろうか。それさえも思い出せない。
気分を新たに、文庫本で一気に20冊あまり揃えてみた。中途半端な事は嫌いな性格なので、読書の秋と決めたからには徹底的に読破してやろうと思ったのだ。

秋なんてとっくに終わって、冬まっただなかという季節。
まだ5冊ばかりの読み終えていない本が、本棚に平らに積まれて順番を待っている。
しかし、「読まなきゃいけない」という強迫観念みたいなものはない。自分の楽しみがまだこれだけは残っているのだと考えると楽しみだ。
逆に言うと、この5冊を読み終えてしまうと楽しみが無くなってしまうようで怖いのだが。

2000.1.31.




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