迷信


迷信と呼ばれるものは数多くあるが、俺がやたらと気になるものがある。

「夜爪を切ると親の死に目に会えない」
「親不孝をするとささくれが出来る」

両方ともに関するものだね。
迷信なんてものは元々の意味があるのかないのか、それさえも判らない意味不明なものから、何となくそれに込められた意味らしきものを想像出来るものまでいろいろあると思うのだが、前者の方は俺なりに考えてみると、昔は夜は明かりもろくに無くて暗かったので、まぁそんな暗い中で爪を切るのは危ないから止めなさい、とかそんな意味を込めて親が子に対して教え伝えたのではないかと思う。
後者の方はまったく意味が不明なのだが、無理にこじつけて考えると、ささくれが出来ると家事の手伝いが充分に出来なくなるから親不孝だと。だからささくれを作らないように気をつけなさいとか、そんな感じだろうか。ちょっと無理があるだろうか。

なぜ俺がやたらとこの迷信を気にするかと言えば、俺に該当するからという至極簡単な理由に他ならない。迷信なんて気にしてないやと言いつつも、やたらと気になるのはなぜだろう。俺が親のことを気にしているという深層心理でも働いているのだろうか?自分でもよくは判らないが。

親の死に目に会えなくなったら困るとは正直言ってそんなに思わないし、夜くらいしかゆっくり爪を切る時間なんて無いし、そう自分に言い分けをしながら夜爪を切っている自分がなんとなく鬱陶しいのだ。なんで言い訳しながら爪を切らなくてはいけないんだって感じ。
ささくれだって、仕事柄か体質かよく判んないけど俺の手には年柄年中あるよ。それを見る度に俺って親不孝なのかなぁ?なんて考えている自分がやはり鬱陶しい。

実際、俺が親不孝だと自分のどこかで認めている部分があって、それが負い目みたいな感じとして自分を責めているんだろうね。精神分析医に言わせたらそんな様な答えが返って来るんじゃないかって、自分で考えてみた。

気になる迷信ってある?

2000.1.19.




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