映研部って知ってる？
映画研究倶楽部の略なんだけど、高校生のころの俺はそういう部活で映画を作っていた。
「研究」なんてたいそうな名前が付いているけれど、やっている事と言えば自主制作の映画を作ること。8ミリって呼ばれる、その名の通り幅が8ミリのフィルムを使って撮ってた。
今は8ミリって言うとビデオの事を指して使う言葉になっちゃったけど、現像しないと映像を見ることができない、フィルムって言うのが映画っぽかった。
シナリオを書くのも、役を演じるのも、カメラを回すのも、すべて自分たちの手による、手作りの感じが楽しかったね。

映画を作るためにはまずシナリオを書かなくてはならない。部員が各自で書いて来たものを持ち寄ってみんなで読みあいっこして、それで面白そうなシナリオを採用するという民主的な感じだった。

部員の一人の男が書いて来たシナリオで、主役の女性の服装を描写する部分があった。
・・・は、ワンピースにミニのスカートという格好で・・・
その時の俺は、これを読んでも何とも思わなかった。

部員の中の一人の女子が指摘したことによって、俺はその表現がかなりおかしい間違いであることを知ったのだが、それまでは何とも思わなかったのだ。
つまりは、ワンピースという服がいったいどういうものであるのか、その当時の俺は知らなかったのだ。

男ものの服に、ワンピースなんて無いからね。
・・無いよね？？


もう10年以上も前のことなのに、毎年この夏という時期になると、この出来事を思い出してしまう。