はじめてのレコード


初めて買ったレコードって覚えてる?
そう、自分の意思で、自分の金で買ったやつ。
今ではCDなんだろうけど、俺が初めて買ったやつはアナログ盤のレコードだった。

俺が初めて買ったレコードは、細野晴臣の「SFX」というアルバムだった。
ちょうどYMO(※1)が散会(※2)したくらいの時期に俺はYMOの虜になっていて、何故だかYMOのレコードではなく、細野さんのソロアルバムを買ったのだ。

(※1)Yellow Magic Orchestra(イエロー・マジック・オーケストラ)日本のテクノを語る上で非常に重要で先駆け的なバンド。細野晴臣・坂本龍一・高橋幸宏の3人で、1978年〜1983年の約5年間活動した。
(※2)解散のことを彼らは"散会"と呼んでいた。

いや、それ以前にYMOのレコードも持っていたんだけど、それは残念ながら自分の金で買ったもでは無かった。「君に胸キュン」っていうシングルのレコードだったっけ。

「SFX」はかなりマニアックな作品だった。ディープなサンプリングループなんかを多用した曲の構成が基本となっていた。今聴いてみるとそれほどディープでもないんだろうけど、当時としては斬新的すぎて、ちょっとついて行けなかった記憶がある。時代の先を急ぎ過ぎた作品って感じかな。

YMOが好きっていう人はセカンドアルバムの「SOLID STATE SURVIVOR」が好きっていう人が結構多いと思う。一般受けするポップなダンス系の曲が中心のアルバムだからだ。
ディープなファンになると、「BGM」とか「テクノデリック」が好きっていう人の割合が多くなる。派手さはないが、音の構成とか、「音」そのものにこだわった作りになっていて、はっきり言って一般受けはしない。渋いというか、マニアックというか、わかんない人にはわかんない世界である。

YMO歴が浅く、「SOLID STATE SURVIVOR」が好きだった時に買った「SFX」は、俺にとって初めてのレコードであったにもかかわらず、期待外れのものとなってしまった。

しかし、それはそれ。「SFX」をスタート地点として、俺はYMOのディープな世界に少しずつ足を踏み入れていく事となったのだ。

しばらくの時間が過ぎて・・・。
気が付いてみたら「BGM」や「テクノデリック」が好きになった頃、「SFX」がとても深い作品である事に気がつかされた。細野さんてすごい人だなぁーって真剣に思った。
今でこそ、礼を尽くす車のCMや、森高千里と一緒に某コンビニのCMに出ていたりして親しみやすい印象を受けるけど、当時の俺の印象はとっても謎めいた、遠い世界の人っていう印象だった。
・・・今でも遠い世界の人なんだけど。

今でも、アナログ盤の「SFX」は大事にとってあるんだけど、聴かないよねー。アナログレコードを再生するのってなんか手間だし、勇気がいる!(笑)

そうそう、ちなみに俺が初めて買ったCDは、レベッカ(※3)の「ブロンド ザウルス」っていうアルバムだった。CDプレーヤーを買ったのは比較的遅いほうだったかな。レベッカはまぁまぁ好きっていう程度でそれ程思い入れがあるわけじゃなかったんだけど、なんとなく買っちゃった。最初は他にCDが無かったから、ずっとそればかり聴いてたなぁ。ほんと擦り切れる(※4)んじゃなかろうかっていうくらい、繰り返し聴いてた。

(※3)NOKKO・高橋教之・小田原豊・土橋安騎夫によるロックバンド。メンバーは何度か変更になっているが、俺が好きだったのはこのメンバーの時のレベッカ。1982年〜1991年。
(※4)CDは光学式読み取りで非接触のため理屈の上では擦り切れることはない。念のため。

他人の初めて買ったレコードのタイトルとか聞いてみるのって結構おもしろい。時代背景とかその人なりの趣味、ちょっとした歴史を感じることができるよね。




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