風呂上がり、俺のちょっとした贅沢。
今日一日を頑張った自分への褒美だったり、励ましの意味を込めてだったり、ちょっと気分をリフレッシュさせたい時にする行為。

濡れた髪に、整髪料を振りかける。
「4711 ポーチュガル ヘアトニック」
「4711」は「フォー・セブン・イレブン」と読む。
1瓶が3,000円という価格は俺にとってはかなりの贅沢品だ。

これが柑橘系のとっても爽やかな香りなのだ。
しかも香りが後まで残らない。
ごく短時間しかその香りを楽しむことが出来ない所がまたいいのだ。

以前はごく限られた店でしか手に入らないモノだったのだが、いまではそこら辺のディスカウント系の薬局ですら品揃えしているので、簡単に手に入れることが出来る反面、少し興醒めな感じは否めない。
他の人があまり知らないモノを自分は知っているんだという優越感みたいなものを感じるのってかなり気分がいいような気がするのは俺だけではないハズだ。(・・・と思う。)

4711のヘアリキッドと呼ばれるタイプの整髪料もあるのだが、これは使用感がベタ付いてちょっと気持ち悪いし、香りの感じが若干違う。
ヘアトニックの方はとてもサラッとしていて、使用感も快適で香りが抜群にいい。

何年か前に、日本国内での流通が止まった事があった。
もともとドイツの製品を日本のメーカーが業務提携して日本国内で販売していたものらしいのだが、日本のメーカーが販売を辞めてしまったのだ。
店の人に聞いても、「もうその商品は入って来ません」という返事しか返ってこなくて、あちこちの店をまわって店頭在庫を買った覚えがある。

買い置きの分も使い切ってしまうと、もうどこの店をまわっても手に入れることが出来なくなってしまった。こんな事ならもっともっと買いだめしておくべきだったと悔やんだが時すでに遅しである。
しばらくは風呂上がりに物足りない日々が続いた。

ある日、とある店先に見覚えのある形をした瓶が陳列してあるのが目に留まった。それこそずっと探し求めていた4711だった。驚きと喜びでかなり興奮しつつすぐさまそれを買い求めた。
聞くところによると、日本国内の別のメーカーがまた販売を再開したらしいのだ。本当に嬉しかったよ。
欲しい商品を普通に購入出来る喜び。

風呂上がりのちょっとした贅沢。
今日は久しぶりにしてみた。