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K's Room Odds & Ends

ゴロゴロな目 結膜結石という症状 2016.11.01改訂



これは病気なの?ゴロゴロの目

私は生まれたときから、という言い方でいいと思うのですが、目の中がいつもゴロゴロしていました。
あまりにも日常的なことなので、不思議なことに長い間特に気にしたことがなかったのですが、思い起こせばそれは片目だけ、いつも目に何か入っているようなイヤーな感覚があり、不自然に瞬きを繰り返したりしていたのですね。




そして、それは、ふとした偶然から「結膜結石」という病気?症状?であることが判明しました。

結膜結石の原因は?

この結膜結石というもの、医学的な細かい解釈は少々置いておいて、ごく簡単に言えば、眼の中(瞼の裏など)に自然と石ができてしまう症状、はっきりとした原因は不明、石ができる理由、できる人、できない人がいる訳は分かっていません。

カルシウムや脂質等の、いわゆる老廃物が分泌される症状、文献から引用すれば「結膜上皮のくぼみなどに、上皮細胞の壊れたものなどが溜り、石灰化(石化)して沈着する」という事のようです。大きさ的にはごく微小、まあ言ってみれば砂粒、針先程度といった石が、まとめて数個、多い人であれば数十個も現れてくるといったような症状のようです。

ただ、私にはごく個人的に思い当たる節があります。それは幼い頃に何か目の病気をして、片目だけ、現在石が出てる方の目から、目ヤニが酷かったというのを聞いていたのですね。親に改めてこの病気のことを尋ねてもよく覚えていませんでした… まあ、いい加減なものです(笑)

ネットなどで検索すると、ドライアイやアレルギー、炎症が原因かな…などと書いてありますが、繰り返しますが、医学的には原因不明。まあ、大きく問題となるような症状でもないので、今後もこの見解にはさして進展もないような気がします。




心配はいらない?結膜結石の対処方法

結論を言えば、これは体質的による症状で、石が出来る人もいるし、出来ない人もいる、はっきりと無害ですので、それ自体を杞憂する必要は全くない症状なのですね。
ただ、気になりだすと、気になるんですよねえ、このゴロゴロ。わかります。私も自分にこの症状があるという事を自覚してからは、すごく気になり、何度も瞼をひっくり返して、ああ、育ってきたなあ、などと呟いて、恨めしくその石達を見るのが常ですから。

全く問題がない症状とはいっても、併発的な問題は出てきます。例えば気にするあまりに目を擦ってしまい、角膜などを傷つけてしまうといったことです。
まあ、こんな事にならないように、あまり気になるような時には、迷わず眼科を受診しましょう。お医者さんも実に楽しそうに石を一つ一つ取ってくれたりします。
私も自分の目の中に、このゴロゴロの石達を発見して以来、定期的に眼科に通って駆除してもらってます。本当にこういった五感に関するストレスは、気になりだすとだめですからね。取って貰った後は何事もなかったかのようにスッキリです。




たいへん危険な自己摘出

この結膜結石の症状を持つどなたでも一度は考えてみるでしょう、自分で取れないのか?と。私も常々そう思います。石がもう本当に大きく顔を出していれば、あと一押しで取れそうに見える状態の時がありますからね。
針先をガス台で焼いて、鏡を構えて、実は私もチャレンジしたことがあります。でも、いざ針を構えると分かります。こんなこと恐ろしくてできないですよ、針先を目に向けるわけですから、自分自身の防衛本能が恐怖を誘発して食い止めます。

でも、そういう問題ではないです、絶対にやらないでください。
万一取れたとしても、のちのちの感染症などの問題もあります。何よりも、そんなことで目を傷つけたりしたら一巻の終わりです。お医者さんで適切な処置を受けてください。

ただ、結局のところ、老廃物が排出されている状況ですので、いずれはこの石自然と外に出てきます。ほとんどの場合、いつ出てしまったのかも気付かないくらいなことなのですが、私は体験上、一度だけはっきりと排出された瞬間に気づいたことがあります。




ある晩夕食を食べていた時、目の中に突然異物が混入して、あれっと思いました。急いで鏡を見てみると、ありました。瞼の中に極小さな白い石。イヤー、この時のすっきり感、達成感はなかったですねえ。ベタな例えですが、ながーい、ながーい○秘から解放されたような一瞬でした。

ただ普段はこう都合よく出てはきませんねえ。ゴロゴロな目はこの記事を書いている今現在も一向に変わりません、というか、このことを書いている分余計に気になりだしました。うー。

結膜結石との出会い

私が、この結膜結石をはっきりと知ることとなったいきさつはこんな場面でした。
それは、疲れが原因で白目にわずかながら出血が出て、念の為と思い近所の古ぼけた眼科を受信したときです。

ある初夏の昼下がりです。饐えた臭いのする眼科の診察室で、診察用の器具に顎を乗せて私は椅子に座っていました。
この頭を固定する器具に括られると、何とも絞首刑に処されるようなイヤーな気分になるものです。
差し向かいに座った初老の医者は、そんな私の気など知ってか知らずか、その処刑器具のハンドルやダイヤルをぐりぐりと操作して、まるで物のように私の顔をその器具の中央に固定しました。そして、顔の自由が効かなくなった私の右目に、ピカリとライトを当てると、レンズ越しに目の中を覗いてきたのです。強い光を浴びている事と、あまりに近い位置にレンズがあることで、目を見開いているというのにまったく焦点が合わないという不思議な感覚に襲われました。

その医者は、突然右手の人差し指と親指を差し出すと、私の右瞼をペロリと器用にめくり上げ、丹念に目の中を調べ始めたのです。
「人の瞼を捲るのは出来るんですけどね、自分のとなると、うまく出来ないものなんですよ」その医者の声が、すぐ耳元から聞こえます。
私は、とりあえず「はあ」と答えてみました。

「あ、石が出てますねえ」その医者が言います。
「え?」
「ついでに取っておきましょう」
“??一体なんの話だ”


突然の摘出手術

何せこの日は、白目に少し出血があったので、念の為に診てもらいに来ただけでした。看護士に当たるような人もいないこの個人病院の割と広い診察室の中、その医者は椅子から立ちあがると早足で歩き回り、どうやら石を取る為の道具をシャカシャカと自分で揃え始めているようだったのです。
診察室の中には、もう二度と開かれないだろうと思われる専門書や、訳の分からない雑誌が至る所に積み上げられ、少なくともここ数年は動かされた事がないような様々な機器が忘れ去られたように鎮座していて独特の雰囲気を放っています。
照明を消した室内にはブラインド越しにわずかに光が射し込むだけで、これでホルマリン漬けのカエルの標本でもあれば、放課後の小学校の理科室そのものといった雰囲気でした。

「それだけ大きいと、なんかゴロゴロするでしょう」
「はあ、石があるんですか」狐に摘ままれたような心境の私に、「そういう体質なんでしょう」と医者は言い、「麻酔をしますよ」と言って私に診察台から顔を離すように言います。
“ええっ、麻酔をする?つまり痛いのかぁ”
その医者はおもむろに金属製のカップを私の右目の下にあてると、このまま持っているようにと言います。そして、私の右目に目薬を差す要領で麻酔薬を数滴点眼、目から溢れた液が手に持ったカップの中に落ちていくのが分かりました。




麻酔が効くのを待つ間、その医者はの事を大まかに説明してくれたのでした。それによると、私の右目は、結膜結石という立派な病名(?)のある症状であること。病名などと言うとなんとも仰々しいが、簡単に言ってしまえば、瞼のうら(結膜)に自然と石が出来る症状であるということ。まあ差し当たり何か問題があるわけでもなく、瞼の裏に埋れたこの石は日々大きく育っていき、結局のところはポロリと取れてしまう。大きな石などと言ってみても、一ミリにも満たない程度の早い話が耳垢のようなもので、もちろんこんな物ができる人もいればできない人もいるという話をしてくれたのです。

結膜結石の自覚

まあ、寝耳に水です。確かに私は右目がいつもゴロゴロしていました。特にそんな感覚のない人にしてみれば、何のこっちゃ?と思われるでしょうが、体が生み出した物とはいえやはり瞼の裏に異物がぁるわけであり、気にならずにはいられなかったわけです。しかしながらこの眼科医に指摘されるまで、自分の右目にまさか自然と石が出来ているなどとは夢にも思わなかったのでした。これまでのうん十年もの人生で、なんとなく目の不快感をずっと抱えながらも、のん気に
「まあ、こんなもんかなあ」などと漠然と感じていた程度だったのです。




「そろそろいいでしょう」
数分間でしょうか、麻酔の効果が出るまでの時間を待つと、医者は再び私に診察台に頭を乗せるように言ったのです。そして、さっきと同じように上の瞼をペロンとめくり上げると、「ああ、三つくらい取れそうですねえ」と、何だか楽しそうに言ったのでした。
再び医者が歩み去って行った先で、シュボッと何かの発火する音がします。瞼を捲り上げられ顔を固定されたまま、私は目だけをその方向に向けてみた。するとその医者は、小型のバーナーを手に、鉛筆くらいの長さのある針の先を焼いているところだったのです。そして、その針先を掲げるように一度持ち上げると、次の瞬間、にやりと笑った。
“ひえー!”
すみません、作りました!

老医師の格闘

どうやらあの針先で瞼の裏をほじられるようだということが分かります。初夏の頃、薄らと冷房が効いた室内で、Tシャツ一枚の体が徐々に汗ばんでいくのがわかりました。
「じゃあ、取りますよ」
その声と同時に、消毒液で一度洗った針先が私の眼に近付いて来ます。
“ひえー!こわいー”
あまりの恐怖にぶるっと顎が震えた。
「ああ、動かないで!」
その医者は叫ぶように言ったのです。
私は何としても震えを堪えようと体を硬直させ、あとはこの医者がアル中でない事だけをひたすら祈るのでした。


それにしてもなんということでしょう、あまりの突然の成り行きに訳の分からない思考がぐるぐると回ります。
"やはり家に近い事だけでこの病院を選んだのが間違いだったのか"
"玄関先に自転車を止めた時、その建物のあまりにも古い風貌にいやーな予感がしたとおり、素直に止めておけば良かったのだろうか"
"受付で保険証をチェックしていたおじさんが、そのまま「はい、どうぞ!」と言うなり白衣を羽織って、たった一人の私と言う患者を診察室へ招き入れた瞬間にも、やっぱり止めますと言う事は出来たはずだったのではないか”
”それとも、どこの医者に行こうがこの事態は避けられなかったのだろうか"

あっけない結末

「もう二つ取れましたよ」
「へ?」
何も感じなかった。
“なーんだ、こんな痛くも痒くもなく取れるものなんだ”と、そう安易に思った瞬間、“いたーい!”確かに針先が瞼を差している感覚が突然襲った。
「あっ、痛かったですかあ?」
「痛かったです」
そう私が答えながらも、その医者は手を休める素振りはなく、ちくちくと針の刺さる痛みが続き、「あっ、ちょっと、痛いからもういいです」と、少しイライラしながら私は言ったのです。
「そうですかあ」医者は私の目から手を放し、「もう少しで一つ取れるんですけどねえ」と、残念そうに言うのでした。
目を消毒した後にガーゼで拭ってみると、白いガーゼにそこそこ血がついていたので驚きました。


「これから出てくる小さい石がいくつかあるから、気になり出したらまた来て下さい」
帰りの会計の窓口で、薬の処方箋を自分で差し出しながらその医者は言ったのです。
結構長い間診察室にいたにも関らず、待合室は来た時と同じで誰もいません。たしかにこんな調子であれば、看護士などを置く必要もないのだろうなあと私は思いました。
「あっ、そう言えば、目に出ている出血どうだったんでしょうか?」
私ははたと我に返り、そもそもこの眼科に来た理由である白目に掛かったわずかな出血についてついて訪ねてみた。
「ああ、それね、それは疲れが原因でしょう、すぐに消えますよ」
なんとも簡単に言ってのけるその眼医者に、「そうですかあ」と、私は答えました。


結膜結石とのながーい付き合い

どうやらこの結膜結石という症状、右瞼の裏には石が一つまた一つと生まれ、徐々に成長し、一年くらい経つと少々目の中で不快な存在となるようなのです。こんなふうに眼科医取ってもらえば、たしかにその時は異物感が消えてさっぱりとするものなのですが、わざわざ取らなくても、結局のところ自然と取れてしまう類いの物であり、自分でそのゴロゴロとした異物感を気にするかしないかの問題につきるようです。
しかしながら、こんな症状を知ってしまった今となっては、石がわずかに目を刺激するだけでも、なんとも気になって仕方がないといった状態に私は陥ってしまっています。





ここまでつらつらと結膜結石について、自分が対処していることなどを書き綴ってみました。
ご興味を持ってこれをお読みになっていただいたあなた!目の中がなんとなくこそばゆくないですかあ?ゴロゴロとしていませんか?なんとなく瞼が引っ掛かる、そんな症状はありませんかぁ?少しでも心当たりがある方は瞼を摘み上げぜひ覗き込んでみて下さい。ほら!ありませんか、ぷつぷつと顔を出しているミクロの白い石が・・・。

そんなこんなで、青天の霹靂的に発見したこんな自分の症状に、なんとも喜びに似た驚きを感じた私は、この事実をいまだ知らずにいる人達に教えたくて仕方がないと思い続けています。時折テレビなどで見掛ける人達が、なんとなく目をわずらわしそうにしているような仕種を発見すると、「ああっ、この人、結膜結石じゃないのお?」などと一人で喜び、そんな症状を「知ってるのかなー」などとお節介な詮索にかられ、ニヤニヤしていたりする今日この頃なのでした。

K's Room

東京大田区バドミントンサークル



 

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