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K's Room Odds & Ends

スタートライン TVの開始時間がフライングな話

 まあお気づきの方も多いとは思うが、実はこの時のこの番組、7時から始まっていた前のクイズ番組が終わるやいなや、間髪入れずに続けて放送されていたのである。番組と番組をダイレクトに繋ぎ「そのまま」見させてしまおうという放送局のやり方だったわけで、長年の習慣からコマーシャルを見る事で自然と番組の終わりを認識し、次の番組の始まりを待っていた頭は、コマーシャルが存在しなかった事でまんまと次の番組に集中させられてしまったわけである。

 視聴率至上主義の民放各社が、鎬を削った末に編み出したウルトラCは、番組をダイレクトに繋ぐといったこんな手法の他にも実に多彩である。

 新聞のテレビ欄を見てみると、昨今では妙に中途半端な時間から始まる番組が多い事に気付く。一昔前までのテレビの番組表といえば、非常にイレギュラーな特番でもない限り、ほぼ縦横正確に区切られたマス目の中に番組が記載されていたはずである。ところが、最初に言った再現ドラマ風の番組を例にとっても、8時を待たずに7時58分などという非常に微妙な時間から始まっている。そして、それに合わせて番組表のマス目も、まるでランダムに横線を引いた“あみだくじ”のようにズレ捲くっているだ。6時台のニュース番組の欄を見ても、かつては時報と同時に各局が一斉に放送していたはずである。ところが昨今の番組表によると、もはや6時から始まる局といえばNHKくらいしかない。5時25分、50分などと、いったい何が基準なのか訳の分からない時間から始まり、4時55分から始まる局さえある。どうせ始めるなら他の局より少しでも早く始めて、視聴者にチャンネルを合わさせてしまおうという魂胆なのであろう。

 その他にも、テレビ欄を見た時のそのインパクトで見させようといった手法もあるようである。

 たとえば二時間ドラマと呼ばれる番組。通常であれば番組表の標記は、ドラマのタイトル例えば「前略おふくろさん」(ふる!)と最初に来て、次に今回のお題「おふくろさん、辛いです」などとなり、その下に原作者名、俳優名などが列記されるであろう。しかしながら、昨今の記述はもはや週刊誌の中吊り広告なみである。いったい何がタイトルなのか、あらすじなのか、はたまた何かの暗号なのか、ある日の某ドラマの番組欄の記述を抜粋してみた。「西村京太郎スペシャル・十津川警部夫人の旅情殺人推理2・特急ひだ3号飛騨高山愛憎殺人ルート・命かけた名物高山ラーメンは嫉妬・後悔・涙の味」こう書いておきながらなんだが、実に書き出すのも憚られるような次第である。それにしても、この時の高山ラーメンはいったいどんな味だったのだろうか・・・。

 以前70年代から80年代に掛けて、金曜の夜8時を凌駕していた「8時だよ、全員集合!」という番組があった(また、ふる!)。とんでもない視聴率を稼ぎ出す怪物番組で、他局はこの時間に何かまともな番組をぶつける事を何年もの間半ばあきらめていたほどである。しかしながらある時、その怪物番組の時間帯にTBSがやけっぱちならぬ「金八先生」という学園ドラマを登場させた。そしてご周知の通り、やがてこの番組は怪物を抜き去るスーパードラマへと変貌していったのである。

 で、何が言いたいのか。やけっぱちであれなんであれ、この当時は各局が横一線当然のごとく同じ時間に番組を送り出していた。枠を破ってみたり、妙なタイトルを付けるなどといった裏技は存在せず、よーいドンで正々堂々競い合っていたはずである。

 まあ、提供側がどんな手を使おうが、結局は見る側の判断となるわけであろう。しかしながら、せめてテレビの番組はポーンという時報の合図と共に始め、いったい何を見ているのか分からなくなるようなフライングは止めてくださいよと言ってみたい、今日この頃の僕なのである。

(04.6.18)

K's Room

東京大田区バドミントンサークル



 

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