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K's Room Odds & Ends

非常識?味噌汁右は本当に正しい?


 ランチタイムによく行くカレー屋が、長方形のプレートの右側にライス、左側にカレーのルーという配置で出してくる。どうやらこれがマニュアルのようで、どの従業員も間違える事なく客の前にこの向きでプレートを置いて行く。カレーの皿の向きのマナーというのを僕は知らないが、これではメチャメチャ食べずらいと思う。出される側が圧倒的に右利きであるということを前提にした時、まず右手に握ったスプーンに適量ルーを載せて、そのままライスをすくうか、あるいは、スプーンにルーを載せ、それをご飯の山の適当な場所に掛けてからその部分をすくうなどになるのではないだろうか。そうであれば、この店の出し方のように自分の右側にご飯があったのでは、絶対に食べずらいはずである。いったい誰がどうしてこの向きと決めたのか、本当に訪ねてみたい心境になる。

 そんなわけで、このカレー屋で目の前にカレーが出された瞬間、僕は従業員の人がよく分かるように、“こうでしょう!“とプレートの向きをぐるっと一回転させる。そして、おもむろにスプーンにルーを載せ、そのままのスプーンをライスの山に突っ込み、許容量に耐え切れずに溢れ出したルーに構う事なく、一気にカレーをかっ込むのであった。

 実にくだらない話であるが更に先を続ける(・・)。

 コーヒーを入れたカップは耳を左側にしてお客に提供する。これは、右利きのお客が左手で一度耳を掴み、砂糖などを入れてから右手でスプーンを操る動作を前提とした一般的なサービスの仕方のようである。

 フランス料理の世界では、料理はお客の左側から出し、ワインや飲み物は右側からグラスに注ぐ。これがマナーであり、ナイフが右フォークが左なのと同じ決まり事である。

 和食においても同様で、焼き物、煮物、小鉢などその器の置き場所は決まっていて、まあ、われわれの庶民的な決まり事としては、ご飯が左、味噌汁は右という程度の事になる。子供の頃、これをめちゃくちゃな置き方にしたりすると「ご飯は左!」などと、目ざとく親から叱られたものであった。親から叱られ、先祖代々そういうものだからと先入観を植え付けられ、何も考えずそれに従ってきた。しかし、僕はこの「ご飯が左、味噌汁は右」を、本当に理に適った置き方であるのだろうかと日々思わずにはいられないのである(・・)。

 右利きの人であれば、当然ご飯茶碗を左手に持ち、箸を右手で操る。おかずを箸で探して、ホームであるご飯茶碗の上で食べる、少なくともこれが僕の食事の仕方である。となれば、動き回る右手の間近に、もっとも倒れやすく、こぼせば大惨事となる“危険な”味噌汁の碗を置くのはなぜだろうか。僕は提唱したい。味噌汁の碗は左上、右手から充分に放しておく、これこそがもっとも合理的な置き方であるはずだ!

 物事にはマナーや習慣といった常識とされる決まり事があり、えてして人はそれが当然だからと、何の疑いも持たずに日々日常に取り入れていたりする。しかし、もっとも単純に目的指向的に考えた時、それが明らかな障害になったり合理性に欠けたりする事も多々あるはずである。

 まあ、実に今回もくだらない話に尽きてしまったわけではあるが(・・)、アホな日本人の恥ずかしい思い込み的に語られているフォークの背にご飯を載せる食べ方も、実は器用な手先の日本人が編み出した、動き的にはすごく食べ易い方法だぞなどと思ったりしている今日この頃の僕なのである。

(04.1.30)

K's Room

東京大田区バドミントンサークル



 

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