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K's Room Odds & Ends

メジャーリーグ

 今はもうシーズンも終了してしまったが、土曜、日曜の朝となれば、衛星放送でメジャーリーグの中継を見ていた。松井、イチローといった選手が移籍して以来、ヤンキース戦、マリナーズ戦、そして、野茂の先発するドジャ−ス戦などと、下手をすると一日に三レンチャンで放送される事さえあり、なんとも休日の一日を楽しませてもらっている。そうなると、同じ野球として、やはりどうしても日本の野球と比べてしまう。メジャーと日本のレベルの差、ピッチャーの球速、球種の多様さ、バッターのパワー、内野手の強肩ぶりなど、まあいい線まで来ているとは言っても、まだまだ日本はそのレベルに水を開けられているように思える。そして、観客を含めたゲームというイベントそのものの違いにも、改めて気付かされる事となり、まず真っ先に思い浮かぶのは、まあ既に散々論じられているとは思うが観客の観戦スタイルの違いであろう。方や野球を見ているのかどうなのかさえ疑いたくなるような応援歌の大合唱。方や試合を熟知していなければ到底分かり得ない掛け声やブーイング。そして、六回から次のイニングへ移る時の方や誰が片付けるんだと突っ込みたくなる笛付き風船の撒き散らし。方や厳粛な独唱の後の感動さえ誘う「Take me out to the ball game! 」の大合唱。まあ、どう見ようがスタジアムで観戦する人の勝手ではあるが、テレビに映し出されるその姿はあまりにも対照的である。

 もっとも、本場だからなどという理由で、すべてにおいてメジャーが良いなどといっている訳ではない。大の大人がグラブまで持参してファールボールを取り合う姿は、「あほちゃうか!」と思わずにはいられないし、スタンドの観客達が特大のビールやポップコーン、ハンバーガーを絶えず食べ続けている姿はお世辞にも美しいとは思えない。

 選手達においても、大抵の選手はクチャクチャとガムのようなものを噛み、所構わず唾を吐いては手鼻をかんだりしている。ふと映されるベンチの中、選手達の足元には紙コップがゴロゴロと転がり、何に使ったのか分からない紙くずや得体の知れないゴミが散乱し、一体全体アメリカ人はベンチの中というものをどんな感覚で捉えているのだろうかなどと考えてしまったりする。

 メジャーリーグの今年のプレイオフ。松井の所属するヤンキースが、ワールドシリーズまで進んだ事もあり、実に興奮させられ、楽しませてもらった。まあ、最後の最後、残念な結果には終わってしまったが、ここまで見させていただければ、もう文句ないっす!といった気分である。それにしてもアメリカのメジャースポーツ、バスケットボールやアメリカンフットボールなど全てで共通する事なのだが、一国の国内リーグの決勝戦なのにワールド(世界)シリーズはないよなあ、と思う。優勝したらワールド(世界)チャンピオン、こんなアメリカという国の傲慢さは、政治もスポーツの世界でさえも同じなのねえと、考えてしまう。

 これに比べると、“日本シリーズ”とは何とも地味なネーミングである(笑)。今年は偶然にも、日本、アメリカと、優勝決定戦がシンクロし、途中までは内容も同じような展開となった。個人的にはあの川にまで飛び込む、某球団の応援振りには本当に嫌気がさしていたので、日本シリーズでの結果はなんとも嬉しいものであった(!)。 

 今回の日本シリーズ、その試合の展開を冷静に振り返る時、ホームの球場で戦ったチームがそれぞれに勝利し、一試合ホームが多かった福岡が優勝した、そんな風に言えなくもない。日本シリーズにおけるこのホームとビジター(アウェーではない)の球場の使い分け、これは年交代でその順番があらかじめ決まっているらしい。西暦偶数年はセリーグの球場から始まって、セセパパパセセの順、奇数年(ちなみに今年)は、パリーグから始まりパパセセセパパの順になっているとの事だ。しかし、結果としてこれだけ球場によって勝敗が鮮明に分かれるのであれば、ホーム球場での有利さを吟味し、その順番を決めるやり方を考えてもいいのではないかと思う。ちなみにメジャーでは、レギュラーシーズンで勝率の上回っていたチームがホームから始められるようである。

 日本のマスコミがメジャーを報道する時になんとも気になる事がある。日本人選手の活躍振りは事細かに報道するものの、肝心な試合内容に関してはおざなりに結果を述べる程度、松井がヤンキースの中でどれほど活躍したか、野茂がどれほど凄いメジャーの強打者から三振を取ったかと強調するあまり、肝心の試合は二の次といった感が強い。

 イチローがオールスターゲームに始めて出場した時、一番バッターとして登場した彼は初回最初の打席でランディジョンソン(ダイヤモンドバックス)と対戦。結果として「しぶーい」内野安打を放った。まあ、結果を残したという意味でやはりイチローは凄いとは思うが、翌日の日本のマスコミの取り上げ方にはなんとも赤面させられた。怪物のようなメジャーの左腕投手から、日本を代表するバッターがヒットを放ったあ!、まあまだまだ日本人メジャーリーガーが珍しい昨今では、そんな取り上げ方も仕方ないのかもしれないが、日本の強打者がメジャーリーグに殴り込み!みたいな島国根性丸出しの報道はもうそろそろ自嘲してもいいのではないだろうかと思う。ちなみに、この時イチローは第二打席、韓国のメジャーリーガーとして初めてオールスターに選出された朴(パク、当時ドジャース)と対戦、凡打に打ち取られている。そして、その時の韓国の報道振りがまさに、韓国のエースが日本の代表的バッターを倒したであり、韓国が、日本に勝ったぁ!であった。あらあら、お隣も同じだったのねと、僕は一人笑ったものだった。

 「日本人初」というフレーズは、まあなんとも嫌になるほど耳にした。

 日本人初の開幕ホームラン、日本人初の四番、日本人初の敬遠・・・そして今年は、松井の所属するヤンキースがワールドシリーズに進んだ事で、この言い回しはことの他ひどくなり、ワールドシリーズに日本人初スタメンや初ホームラン、初の猛打賞、そして、日本人初のデッドボールには笑った。

 以前ドジャースの野茂とマリナーズのイチローが、メジャーリーグで初めて対戦する場面があった。その時、日本のマスコミが野茂にこんな問い掛けをした。

「メジャーでの"日本人初"対決となるが、心境はどうか?」

 これに対して野茂は、顔色一つ変えずに「日本人云々といった質問のなくなる日が、やがて来る事を祈ってます」と答えていた。

 まあいずれにしても、この先日本人のメジャーへの移籍が増え、個々選手の報道がとても追い付かなくなれば、当然ながら正常にメジャーリーグとしての報道がなされるはずである。スタメンの九人がすべて日本人などという日が来れば、もう「日本人初」などとは言われず(・・)、せめて「メジャー初」くらいにはましになる。

 そんなこんなで、メジャーリーグもあれこれと気になってしまうが、いまだ平然と使われ続けている「大リーグ」という呼び名。こんなダサい呼び名は死語として、もう使うのは辞めようよと特にNHKなどに訴えてみたい今日この頃の僕なのである。

(03.11.8)

K's Room

東京大田区バドミントンサークル



 

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