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K's Room Odds & Ends

インターネットのお話



 前にも書いたけれど、僕が初めてパソコンを買おうと思ったきっかけは、DTM(ディスクトップミュージック)をやりたいと思ったことだった。自称ミュージシャン崩れの僕は、いくつかのバンドを経験してきて、どうしても思い通りにならなかった部分の欲求不満を、コンピューター上で思う存分やってみたいと考えたのだ。
 さらにパソコンを解説した本を読んでいくうちに、一台のパソコンを持てば、ワープロやお絵書きをしたり、ファックスや電話まで掛けられることを知った時には、普段はなかなか物事に熱しずらい僕の血液も、急激にパソコンへ向けてグツグツグツと沸騰していったものであった。

 DTMにはマックが良いと、物の本に書いてあった。僕はろくな知識もなく、ウィンドウズだのマックだのもなんだかわけが分からないまま、パソコンショップへと飛び込み、その時つかまえた気の毒な店員を質問攻めにした挙句に、一台の機械を選び出した。
 その時に買ったLC475という、当時のマックのスタンダード機は、楽しい時も苦しい時も僕の手足となり、思い起こせば足掛け6年・・・つい最近まで、僕のかけがえのないパートナーとして立派に現役を勤め、2000年を境にして、その役割を終えたのであった。
 しかし、新型機を操る今でも、そのLC475を手放す事が出来ない。再び登場する機会などまずない事を知っていながらも、奥様の冷たい視線を浴びつつ、押入れの片隅で現在熟睡中なのである。
 何でそんな古い機械にこだわるのかと思う方も多いとは思いますが、そこが「マック教」信者たる由縁、なんだか可愛らしいという愛着さえも、この「マック」という機械には抱いてしまうのである。

 まあ、そんな事はどうでもいいのだが、今回何を言わんとしているのかというと、ここ数年のインターネットの発達振りが本当に凄いと思うということを、書いてみようかと思ったのである(しかし、本当によく脱線するなあ・・・)。

 最近、会社の仲間や周りの人達から「パソコンを買おうと思うのだけど」、といった類の相談を受ける事が多い。その内容は概ね、パソコンは何が良いのか?とか、インターネットは簡単なのか?といったような事である。
 そんな質問を受けるたびに僕は不思議な気持ちになって、パソコンで「何をするのか?」を、取り敢えずそんな人達に質問してみる。「インターネットがやりたい」という明確な目的が(実はこれがメチャ曖昧だったりするのだが)ある人ならまだ良いのだが、「なんとなく」とか、「パソコンくらい出来ないと」といった答えが返ってくる事がしばしばである。
 パソコンも所詮はただの道具だと僕は考えている。大工仕事に興味がない人が、高性能な電動のこぎりや、効率の良い釘打ち機などを揃えてみても、それはまったく意味をなさないし、何ももたらさないと思う。いくら安くなったとはいえ、ただのオモチャや、飾り程度の意味合いでパソコンを買うには、少々高価な買い物ではないかと僕は思うのである。
 よかれと思って、相談をしてきた人達に、その程度の動機なら辞めたほうが良いとか、買うなら壊れてもいい程度の中古にしたほうが良いと進めてみるのだが、大抵相手には嫌な顔をされたり、訳の分からない顔をされたりしている。

 僕がインターネットに最初に手をつけたのはかれこれ6年位前で、大雑把な言い方だし、別に自慢するわけでもないけれども、普通の人が手をつけた中では、少々早い方の部類に入っていたと思う。
 その当時は、バドミントンのホームページなどを検索してみても、確か3、4のサイトが存在していたくらいだったと思う。
 その当時はHPのあり方というものが、世界を結ぶというような大義名分を前提に考えられていたため、その頃のサイトには「ジャパン」や「WORLD」なる文字をタイトルに使っていたページが多かったのを憶えている。皮肉な事に、その当時IN利用者の数は本当に少なく、それこそ全国からバドミントンに興味のあるわずかな数の人達が、数少ないそういったサイトに一斉に詰めかけては、あれやこれやと情報交換をしていたような状態だった。結果として、まさに「ジャパン」や「WORLD」という言葉は的を得ていて、「世界を結ぶ」という意味でのHPとして立派に存在していたようであった。
 しかし、その当時のINそのものの環境にはどこか閉塞的な感じがしていて、メディアでは、呪文のように「インターネット」なる言葉が取りざたされてはいたものの、実際のパソコン設定の操作の難しい事や、電話代が異常に高くなってしまうこと、プロバイダーの対応力不足などの難題が山積みで、急遽開店した仮店舗の商店みたいなものだと僕は感じていた。その中には、とてもでないが軌道に乗るような痕跡すら見られず、当時の僕は仲間むけて「絶対に、インターネットなんか普及しない!!」と、知った者顔で豪語していたものだった。

 ところが、ところがである。ある時を境にしてINが一気に世に広まったように思えた頃から、僕が、そして誰もが障壁だと思っていた事が、一つ一つ確実に改善されてきたようだ。その最たる事実は、最近のパソコンの自体がインターネットを接続する事を前提に作られているという点ではないかと思う。そして、様々な圧力によるNTTの電話料金の値下げ、プロバイダーの多彩なサービスや料金の安さ。何もかもが、「INの利用のし易さ」へ向けて集約されてきたようだ。
 「絶対に、インターネットなんか普及しない!!」と豪語していた僕としては、まさかこんな事になるなんて・・・と、所在のない状態なのである。とほほ・・・。

 僕がINを覗き始めた当時は、HPを開設している人などはパソコンを扱う上で神様のような人だと思っていた。何の本を見ても、身近な話題としてHPの開設などといったテーマは出てこなかったし、どのHPを覗いてみてもこんなシステムをどうやったら作る事が出来るかなどは、僕にはまるで見当がつかなかった。しかし、これも昨今のINの「利用のし易さ」への動きの一つだとは思うけれど、「お手軽HP作成ソフト」なるものが登場、そして、このソフトの出来が本当に素晴らしいのである。
 HPの何の仕組みも知らなくても、パソコンショップへ行って、数千円程度のソフトを買ってくるだけで、あらかたは思い通りのHPが完成してしまう。大抵はプロバイダーが加入者に対して、数メガ程度のHP容量を無料で提供しているので、そこへ自分の作ったものを置かせてもらうだけで完成である。そんなに簡単なわけない!などと思う人がいたら、試しにやってもらいたい。試しにやれる程度に、本当に簡単なのである。何せ、この僕が出来るくらいであるのだから。

 今や、検索エンジンで「バドミントン」などと引いてみれば、とても1日では周り切れない数のサイトを引張って来る。「NALC on the web」も当然その一つであるわけだが、HPの先駆者である方々が作った、「ジャパン」や「WORLD」的な主旨を持つHPに比べたら、井戸端会議のような自分のサイトが何とも申し訳なく思えてくる。
 しかし、「WORLD」から「井戸端」へと変貌していったこの動きこそが、昨今のIN事情を一重に象徴しているのではないかと僕は思っている。

 大田区の馬込で「ナルクBC」を立ち上げ、同時にHPを通じて参加者の募集を行なった時、その反響の大きさには本当に驚いた。本当にありがたい事ではあるのだが、1日に多い時で5〜6通もの問い合わせメールが殺到し、このまま行くと、この先いったいどんな事になってしまうのかと、相当困惑したものであった。もっとも、今では激減してしまったメールボックスを見て、あの頃が懐かしいなあなどと思ったりしている今日この頃ではあるが(笑)。 

 先日、オーディオの類から始まって、本当にメカとは縁がないと思っていた友人から、突然にメールが来た。後で会った時に、いったいどうしたのだと聞いてみたら、新しく買った携帯電話にメールという機能が付いていたので、試しに送ってみたと言う。
 どうやら現在では、Eメールなどなんだか分からなくても、自動的にメールを発信できるような状態にまでなっているらしい。いよいよこうなると、人間以外の動物とか、はたまた未来の自分あたりからもメールが到着する日も近いのではないかと思う今日この頃である。

(00.9.2)

K's Room

東京大田区バドミントンサークル



 

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